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『理屈は要らない』
“A rose blooms because it blooms, it is without why”
詩人のアングラス シレシウス (Anglus Silesius)のことば。花は自分自身の安全を気にしているだろうか?
誰かに見守られていたいと思っているだろうか?
他の草花や、人間、環境に受け入れてもらいたい、と願っているだろうか?
他の色の花にうまれてこれたら、と考えることはあるだろうか?花は 花であるから咲いていて、それ自体が”花”という存在の証だ。
花はヒトに”美しい”と言われるために咲くのではなく、花だから咲いている。
化粧をする必要もなく、誰かを喜ばすために咲いているのではない。それにひきかえ、私達人間は 多くの場合 ”何故?”という 理由付けによって、自身の存在を確認する。何かを決断するときは、多くのしがらみを無意識のうちにひきずっている。
こうしたら、社会が、友達が、親が、先生、あるいは自分の良心がなんていうだろう?
ああしたら、非常識と思われるかも?そうしたら、変わり者とのけ者あつかいされるかも。こんなに外部の要素を気にしながら生きている私達は
どのくらい本来の自然の自分として決断をし、それに自信を持って、自分自身の人生を生きれているんだろう?あまりにも、自分以外の目を気にして生きてきたがゆえに、本来の自分は誰なのか分からなくなってはいないだろうか?
どうやったら自分らしく生きれるか、という問いにたいして、簡単な答えはない。
私達は社会の中で、環境の中で生き抜くために、自分自身をコントロールし、変化させていかなくてはならない。
季節が変わるごとに、服を着替える。暑さに、寒さに耐えるために。
出かける場所 (例えば、学校、パーティー、それか自分のベッド)によって、服を選ぶ。
多くの場合、無作為のうちに。そうやって作られていく自分も、自分の一部なのだけど、問題は、どうやって本来の自分を失わずにいきていけるか、ということだ。
もっとも、自分をうしなっている、なんてこれっぽっちも気づかずに、疑問も感じずに生きている人はたくさんいるけど。
だから、本来の自分って誰なんだ?何が自分にとって自然ないきかたなのか、
そんな疑問をもてるのは、その答えを見つける旅のおおきな第一歩。答えは、自分のなかにある。考えても見つからない。
何故なら、答えはアイデアとか理屈じゃなく、”生きる”こと自体だから。これに続くもう一つの質問は、
何が本来の自分であることを否定し、何が本来の自分を殺しつづけているのか?私達は、色んなしがらみと繋がっている。過去のトラウマ、些細な一言、社会、家族、祖先の目、しきたり、自分自身が自分に課した決まり。それ自体、はっきり認識していないかもしれない。
よく分からない混沌のしがらみのなかで、知らず行ったりきたりしながら、自分は”自由”であると思うかもしれない。そして、もっと深いもつれた場所にはいりこんでしまう。
もし、そのしがらみと向かい合い、適当な距離をつくることができたなら
世界はこの目に どう映るんだろう?
心は どう感じるのだろう?熱くて殺伐とした砂漠をさまよっている、と思っていて、その環境から必死に自分を守ろうとしていたけれど、
もし、気づいたら?
砂漠にきてしまったのは、自分で選んだわけではなく、
何かを避けるためにさまよった末だと。
もし、何から避けているのか気づくことが出来たら、その対象と対話をすることができる。
案外、砂漠まで逃げなくてはならないほど怖いものではないかもしれない。本当の自分はどこに行きたいのか、なにがやりたいのか?
そのために必要なものは、すべて自分の中にある。
きっとみつかる。ただ認識していないだけ。自分らしく、自然体に生きることに理屈はいらない。