任期制自衛官の再就職で就職援護を使うべき?オススメの転職方法を大公開

任期制で自衛官を辞めようと考えているけれども、就職活動にお悩みではありませんか?

 

「やりたいと思う仕事が見つからない…」

「就職援護から紹介される求人で応募企業が決められない」

「自分で探したいと思っているけれども、どうやればよいか分からない」

こちらをご覧の方の中には、高校、大学を卒業して自衛官になったけれども、自分と合わないと感じていて退職を考えているという方もいらっしゃると思います。

就職活動に関して、自衛官を受けるときの面接ぐらいしか経験がないために、誰もが再就職をするときのやり方が分かりません。

任期制自衛官が再就職を探すときは、就職援護を通して、再就職先を探す方法が一般的です。地域援護センターや駐屯地の援護室担当者に相談をして、退職理由や再就職先の条件を伝えて、一通りの面談をします。

 

就職援護と面談をする前に、まず部隊で退職理由を伝えなければいけません。

 

「どうやって、退職する理由を伝えようかな・・・・」

と就職活動以外にも、考えなければならない悩みの種がつきません。

 

今回ご紹介するのは、再就職先を決めるためのやり方と気を付けるべきポイントをご紹介します。

前職では任期制自衛官、定年退職自衛官の採用責任者として、何十名と採用した人事経験があります。その経験から、実はこうやって転職活動してみてもよいのでは?と思っているやり方をご紹介します。

 

※かなり詳しく書いているため長文ページとなります。時間の無い方は、必要な部分だけ以下の目次から参照してください。

こちらのページでは、任期制自衛官で退職するために、自分の希望通りの再就職先を決める方法がわかり、新たな人生の再スタートを切ることができるでしょう。

 

1.任期制自衛官の就職先の動向

任期満了で退職する人の多くは、20代前半~30代前半の方です。

それぞれ所属部隊によって教育内容、経験、取得資格は様々です。次なる再就職先を考えると取得した資格を活かして転職するケース以外は、ほとんどが未経験での転職となります。

次の再就職先を幅広い業種、職種から自分の進みたい分野を決めていきます。

まずは就職援護担当者との面談から、次の再就職について考えていくやり方がほとんどです。就職先の相談、転職活動の流れ、募集企業の求人の紹介、企業説明会の紹介を一通り説明されます。

 

自衛隊援護経由で就職する業界の特徴として、以下の4つの分野が多いです。

  • 警備業界(例:銀行、オフィスの施設警備、工場などの守衛、イベント等の警備など)
  • 建築、工場、現業系の業界(例:製造、組立、検査スタッフ、機械オペレーター、設備保全)
  • 介護業界(例:介護施設職員、事務作業、送迎など)
  • 運送業界(例:トラック運転手、配送ドライバー、倉庫系作業など)

 

近年は、介護系の需要が伸びてきており求人数が増えています。任期制自衛官の採用市場の特徴として、日本国内の景気が伸びてくると、必然的に民間企業の業績も向上し、事業拡大すると人手不足になります。

そのため、景気が良くなると求人が増える、逆を言うと景気が悪いと求人件数が減ります

援護業務としては、絶えず退職自衛官を採用したいという企業の求人開拓を続けています。その開拓結果、退職自衛官を採用したいという企業の求人の中から、あなたが応募したい企業を選ぶことになります。

ここで、就職援護が紹介してくれる企業の求人が、世間一般的にどのような企業なのかを考えたいと思います。

こちらは、就職情報調査会社ディスコ社が1,028名の20代前半の方に行ったアンケート結果です。40業界の中で希望する業界5つを選んでもらった結果です。

こちらを見れば分かるように、再就職先の多くを占める警備、介護業界はランキングにも入っていません。

こちらのランキングにある製造系の電子・電機業界の企業はパナソニックやソニー、東芝などの大手企業を指しています。

任期制自衛官の再就職先として、製造系の大手企業が募集することはほとんどありません。募集している企業はそれらの下請けなどの中小会社がほとんどです。

任期制自衛官が援護を利用して再就職先を探す先は、世間の20代前半の方が希望する企業と、大きく違いがあるということです。

 

しかしながら、援護経由の求人となると選択肢も少なく限定的である中から選ばなければなりません。自分が選んだ求人が世間一般から見て、良いのか悪いのか普通なのか分からず応募してしまうことがあります。

こちらでお伝えしたいことは、就職援護担当の言うことだけをそのまま鵜呑みにしては、いけないということです。

自らが進んで情報収集して、自分自身の人生で多くの時間を占める仕事を決めるために、後悔の無い就職活動をすることが必要と考えています。

 

2.就職活動の方法

まずは基本的なところから説明いたします。任期制自衛官の方が再就職先を探すための就職活動の方法は何通りかあります。それぞれ、自分に合った就職活動を探すことが一番おすすめです。

援護室・援護センター

任期制自衛官の再就職先を探す手段として、大半の人がこの方法で再就職先を決めています。各駐屯地の援護を通して、応募企業を探す方法です。各都道府県の地方協力本部が取りまとめています。

この場合再就職を探す方法は大きく分けて3つあります。

①企業説明会に参加して応募企業を選ぶ

各都道府県の地方協力本部が主催して、企業説明会を実施します。時期は8月~11月に2回に分けて実施されます。首都圏、愛知県では個別に民間企業に委託して開催しています。

基本的には陸上自衛隊の就職援護が対象ですが、海上、航空の部隊も企業説明会に参加しています。

通常業務を行っていると、中々就職活動の情報収集ができないため、まずはこの説明会に行き、就職活動のイメージを持つにはちょうど良いと思います。6~7割の隊員が説明会経由の応募で入社先を決めているようです。

注意していただきたいのが、企業説明会に参加する企業は、就職援護が扱っている求人企業の中でも、ごく一部の企業しか参加していないということです。

就職援護が扱っている企業を幅広く聞いてみたいという方は、企業説明会参加以降、就職援護に紹介依頼をしてみると良いでしょう。

 

②就職援護、援護センターが持っている求人を紹介してもらう

全国の援護求人を就職援護、援護センターを窓口に自衛官に求人紹介してもらいます。

業務の都合上、企業説明会に参加できなかった隊員や、企業説明会に参加する企業の中で行きたいところが見つからなかった隊員などは、個別に就職援護から紹介を受けて応募先を決めます。

 

③すでに退職した先輩から企業を紹介してもらう

以前の上司、先輩経由で企業を紹介してもらうケースです。

しかし、先輩経由で直接企業に連絡することはタブーとされているため、仮に紹介された企業に応募したい場合は就職援護を通して応募します。

 

ハローワーク

ハローワークは厚生労働省の管轄で転職の相談所として各都道府県が運営しています。その他、民間企業で退職した時に退職手続きをする窓口としても利用されています。

転職に関する相談は無料で対応してくれます。

求人を探す場合は、ハローワークの窓口の相談員に相談するか、ハローワークに設置されたパソコンから自分の興味のある企業の求人を探すことができます。

 

求人サイト

任期制自衛官の再就職でも登録して、使える求人サイトがたくさんあります。

登録は1分~5分程度で終わり、無料で使えます。

転職サイトの中には、10万件を超える求人を掲載しており、就職援護が登録している求人件数は2万件程度ですので、5倍近い求人が登録されています。全業種、業界の求人が掲載されていますので、業界研究に役立ちます。

 

転職エージェント

民間企業が運営している登録型の転職支援サービスです。利用は無料です。利用方法は、就職援護とやり方が似ています。

まずは、転職エージェントにパソコンもしくはスマートフォンで登録します。その後直接対面、もしくは電話で面談を行います。

面談は、転職エージェントのオフィスで行う場合が多いため、通常業務が忙しい場合は、電話での面談をおすすめします。

希望勤務地や職種、業界、給料などの希望条件を伝えると、条件に見合った求人を面談時、もしくは面談後に2~30件程度紹介してくれます。就職援護や援護センターから紹介を受ける企業とは全く違う企業だと思ってよいでしょう

誰もが聞いたことのある大企業がたくさん紹介してくれます。その中から自分に興味のある企業を選び、転職エージェント経由で応募できます。

 

就職支援団体

世間には、ハローワーク以外にも就職相談するところはあります。NPO法人などです。

しかし活動エリアは限定的です。自分が所属している部隊とNPOの活動法人のエリアが近接していない限り、自衛官の皆さんが利用することは難しいでしょう。

 

3.それぞれのメリット・デメリット

評価 メリット デメリット
援護室、援護センター ①求人企業の中には、退職自衛官の採用実績があり、自衛官の採用に理解がある
②部隊と調整をしてくれるため、業務の都合をつけやすい
①世間一般の不人気業界の求人が多い
②紹介する援護担当も民間企業のことを実はよく知らない
③就職援護は、就職させることが目的になっており、仕事との適正などはあまり見ていない
ハローワーク ①求人件数が多い
②相談員がついてくれて、相談できる
①中小零細企業の求人が中心
②相談員が退職自衛官の就職支援の経験がない
③窓口の相談員の対応が人によって違う
求人サイト ①大手企業など優良企業の求人が豊富にある
②自分の都合に合わせて、応募できる
①応募した企業との面接日時の調整や返信を自分で行わなければいけない
②就職援護や転職エージェントのような応募書類の添削をしてくれない
転職エージェント ①応募手続きや面接日時の調整を行ってくれる
②応募書類の添削を行ってくれる
③面接時の質問リストを事前にもらえる
①求人件数がハローワークや求人サイトと比べて少ない。(就職援護よりは多い)
②退職3~半年前ぐらいから利用するのが望ましいため、それより前に相談してもあまり求人を紹介してくれない可能性がある
就職支援団体 × ①転職活動に関する相談以外に、私生活の相談に乗ってくれるところもある ①一つ一つの団体の活動エリアが狭いので、求人数も圧倒的に少ない
②在任中、任期制自衛官の就職支援をしている事例を聞いたことが無い。退職後に相談するケースはあり得る。

 

援護室・援護センター 【 ◯ 】

援護室、援護センターの最大のメリットは、退職自衛官の採用実績がある企業が求人依頼を出すことが多いため、選考時に自衛官の特徴をよく理解していることです。

筆者が一番デメリットだと思っている部分ですが、援護担当者は民間企業での就業経験がないため知識が少ないことです。

紹介する援護担当者は民間企業の就業経験が無いので、民間企業の人事担当者からの情報をそのまま隊員に伝えるだけしかできないので、情報が正確でないというところがあります。

入社した後に「思っていたのと違う、、」とミスマッチが起こっているケースも少なくありません。

 

ハローワーク 【 △ 】

ハローワークが管轄している市区町村エリアの企業の求人が多いです。

企業としても無料で求人を掲載できるため、多くの企業がハローワークに掲載しています。求人サイトなどの掲載はお金がかかるため、求人に費用をかけたくないという企業が多いため、必然的に中小零細企業が多くなります。

しかし、手軽に登録できてしまうため、求人内容の質が悪いことがデメリットとして挙げられます。

いざ応募してみると求人票と条件が違ったという話をよく聞きます。

一方、ハローワークとしても、このような求人は撲滅させようとチェックしていますが、無くなっていないのが現状です。

退職後、住居を構えるエリアの求人を探してみたいという方には良いかもしれません。

 

求人サイト 【 ◯ 】

求人サイトの一番のメリットは、就職援護やハローワークのように担当者とやり取りする必要がないため、自分のペースで就職活動をすることができます。就職援護が持っている求人より、条件の良い求人が並んでおり、これまで聞いたことがあるような大手企業や優良企業が並んでいます。

デメリットとして、自分のペースでやることができるということは、全て自分でやらなければいけないということでもあります。面接日時の調整や応募した企業担当者と電話もしくはメールでやり取りするため、絶えずスマホやPCメールをチェックしていなければいけません。

また、書類作成に関するアドバイスもネット上の情報から自分で考えて準備しなければいけませんので、大変です。

とはいえ、利用は無料ですので、一度登録してみると、

・どの業界が採用に力をいれているのか?

・今の採用市場ではどのようなスキルが求められているのか

・今の給料の相場

情報を集めておくだけで、転職市場のトレンドが分かり、業界研究をが進み転職のミスマッチを防ぐことができます。

リクナビNEXT|転職サイトでおすすめNo1!

リクナビNEXT』は、リクルートが運営する転職サイトで、1万件近い求人が掲載されています。全ての業界、職種の求人がまんべんなく掲載されています。超大手企業や中小企業まで会社の規模問わず、幅広い求人が掲載されています。

こちらでおすすめしているのは、「気になる企業ランキング」や「企業が求める経験・スキルランキング」を見ると採用トレンドが分かります。面接でアピールするネタにもなりますのでおすすめです。

 

転職エージェント 【 ◎ 】

転職エージェントとは、民間企業が運営している転職支援サービスで、あなたに「担当者」が一人ついて転職のサポートをしてくれます。

転職活動のプロである担当者には、転職相談や民間企業の業界知識を教えてもらえたり、面接対策など転職活動に必要なサポートを受けることができます。

どこの会社も費用はかかりません。

理由として、転職エージェントは企業に人材を紹介して、採用されたときに成果報酬として高い金額を受けとるためです。(採用された人の年収の30%程度。年収400万の場合120万円となります。)登録しても、応募しなくても問題ありません。

民間企業の転職活動のプロですので、業界知識や必要書類について、書類のフォーマットや細かなアドバイスをもらえますので、至れり尽くせりと言えるでしょう。

しかし、デメリットとして転職エージェントは100社以上存在するため、どこを選べばよいか分からなくなります。

また、中には転職者を無理やり応募するよう促し、採用につなげ、成果報酬を受け取りたいと自己都合に話を進めるなど、サービスの質が悪い中小規模のエージェントもいます。

民間企業ですので営利目的に働こうとするエージェントもいますので、どこの会社を選べぶべきか注意しましょう。

 

就職支援団体 【 × 】

NPO団体や厚生労働省、都道府県が運営する就職支援団体です。

ハローワークとは異なります。小規模の団体が運営しているため、窓口が少ないことと、紹介してくれる企業の規模が小さい傾向があることがデメリットです。

しかし、就職相談を受ける担当者は、地域に詳しい方が多く通勤や、休日の過ごし方など仕事以外の相談を受けられることもあります。

 

4.転職エージェントを活用する方法をオススメしています

一般の方の転職活動では、大半の人が転職エージェントを利用しています。転職エージェントへの登録も1分から5分程度で完了しますので、まずは登録してみることをおすすめします。

初めての転職で、おすすめしている転職エージェントはこちらです。

パソナキャリア

パソナキャリア』は、大手転職エージェントの中でも、丁寧なキャリアコンサルティングが評判で、幅広い相談を受け付けており、初めての転職活動を行う方にぴったりです。

おすすめポイント

  • 初めての転職に強い
  • 丁寧なキャリアコンサルティング
  • 転職必勝ガイドを全員に配布している

パソナキャリアの母体であるパソナは、1976年創業です。若年の方向けにおいて、日本経済の低迷により、四年生女子大生の就職が困難となった時代から現在に至るまで、若者が才能を発揮できるようにしたいとの考えが息づいており、かなり丁寧なキャリア支援を行っており、20代の転職活動には外せない会社のうちの一つです。

また、面談に訪問したときに全員に配布される『転職必勝ガイド』に非常に有益な内容が書いてあります。職務経歴書の書き方や、面接質問集など転職活動の全体を理解するうえで非常に評判の良いものです。このためだけに面談するのでも充分に価値があるものと言えます。

ほぼ全ての都道府県に面談オフィスを構えているので、基地近くのオフィスで面談してもらうことができます。

面談場所に問わず、全国の求人に応募可能ですので、相談という形で面談してみると、就職援護との違いを感じると思います。

 

マイナビジョブ20’s

マイナビジョブ20’s』は、新卒No.1メディア「マイナビ」を運営する総合転職エージェントです。

おすすめポイント

  • 20代、若手の転職に強い
  • リクルートを超える新卒領域の実績を持つ
  • 転職エージェントの質が高い

大学の就活生の大多数が利用していることから知名度もあります。マイナビエージェントを利用する企業はそのようなターゲットに向けて求人をだす会社が多く、その中には大手企業も数多くいます。

また、中途採用市場においては、中小規模の企業の求人の強みを持っており、他の転職エージェントと比較して独占求人を扱っていることが多くあり、求人の内容は申し分ありません。

企業の就職経験が無い方向けにも丁寧な面談をしていると、同じ業界からもキャリアコンサルタントの質は評判が高く、活用しておいて損のない転職エージェントです。

 

ワークポート

ワークポート』はキャリアコンサルタント(転職コンシェルジュ)という専任の担当がつき、非常に丁寧なサービスを提供しています。

おすすめポイント

  • IT・ネット業界に強みを持つ
  • 専任の担当制による手厚くスピーディなサポート
  • 東京・大阪・名古屋・福岡・仙台エリアに注力している

電車の自動ドアの上の部分に広告が目立つ転職エージェントです。設立して14年で転職支援実績30万件を持ち、急速に伸びている会社です。

企業サイトや転職ツールを開発し、利用満足度が高いサービスを提供しています。面談時のアドバイスや求人紹介までのスピードも早く、面談後から使用できる『eコンシェル』と呼ばれるサポートシステムがあり、スケジュール管理など無料して使用できます。

人気の業界のIT業界、製造系に興味のある人にはおすすめです。

公式サイトで登録〔無料〕

 

5.就職活動で気を付けるべきこと

5-1.まずは円満退職を心がける、その秘訣

①退職理由について

まず初めに、退職したい旨を現在所属している部隊の中隊長、小隊長など直属の上官に伝える必要があります。しかし退職理由と退職後に関する考えを曖昧に伝えると、間違いなく引き留められます。

例えば、「訓練がきつい」、「自衛隊業務が自分には合わない」などの理由で退職したいと伝えても承認されることはほぼありません。現在の不満をそのまま伝えてはいけません。

実のところ本音では、そうであっても退職理由だけは違うように伝える必要があります。

過去の退職理由の実例として、

・「実家の家業を継ぐため」

・「知人の紹介で就職が決まった」

・「将来Web系の仕事をしたいので、ITエンジニアとして働きたい。将来的に考えて、自衛官を続けていてもできない仕事だと考え退職します」

という内容です。

すぐに分かってしまうような、明らかな嘘はだめです。実家が自営業でもないのに家業を継ぐと言ってもすぐに嘘だと分かってしまいます。

上官としても、この理由だったら仕方がないと思うような伝え方が重要です。

 

②退職すると決めたら強い意志を持つ

強い意志を持っておくこと、持ち続けることが非常に大事です。

退職の意思表示をすると上官、同僚などあらゆる人から引き留められます。そうすると感情に流されて意思が揺らいでしまうかもしれません。

退職が承認されるまで、諦めずに伝え続けることが大事です。退職を伝えたら引き返さないことが結果的に一番良いです。

 

③家族にも伝えておく

両親や兄弟など、意外な人から退職を止められることがあります。退職意思を固めた後にあれこれ言われて、面倒な事態になる事例を耳にします。

退職すると決めたら、家族には相談という形ではなく、報告というように伝えるようにしましょう。

加えて両親には自衛隊に入隊させてもらった感謝を伝えるようにしましょう。

このような話をするのが、恥ずかしいと思うかもしれませんが、親としてはその恥ずかしさを乗り越える程、退職への意思が固いのだと考えて意思を尊重してくれるのが親心だったりします。

 

5-2.ブラック企業の見分け方

ニュースに報道されている自殺や過労、サービス残業といったネガティブな印象を持つような事例があります。

一部の企業では、残業時間が多い、給料の未払いなど発生している企業があります。しかも中小零細企業だけではなく、大手企業も例外ではありません。

そのような企業もたくさん求人広告を掲載し、年間数百名と採用しています。

民間企業での就業経験が無くとも、そのような見極めるポイントをご紹介しています。

こちらのページで細かく注意点をご紹介しています。

>> ブラック企業の特長と見分け方を解説|裏を知る人事担当者なら応募しない企業とは

 

5-3.女性自衛官の転職で気を付けるべきポイント

女性自衛官の退職は増えています。民間企業にお勤めの方との結婚や出産などライフステージが変わると自衛官として働き続けるべきか悩む人は多いです。

転職活動をするときには、民間企業の就業規定や福利厚生については、しっかり確認しておくようにしましょう。

民間企業で働くことを考えた場合、「転勤があるのか」、「育児出産休暇がとれるのか」、「時短勤務ができるのかどうか」など疑問を持つと思います。

そのような時に実際に民間企業で働いた経験の無い援護担当に相談しても、悩みは解決しない場合が多く、退職後に仕事を決める人もいます。

それは、任期満了金や退職金として100万以上受け取ることができるため、生活するうえで当面の資金があるため、退職後にじっくり仕事を探そうと考えることができるからです。

そのような時に、女性の転職に強い就職支援を受けることも一つおすすめしています。

> 女性の転職支援に強い|おすすめ転職エージェント5選

 

5-4.職務経歴書の書き方で、民間企業へのアピールも万全にするために

私(筆者)が企業で、退職予定の任期制自衛官の採用業務を行っていて、実際に採用した評価ポイントや、配属後に評判良いポイントをご紹介します。

そのポイントを自己PR作成の参考にしてみてください。

「任務遂行能力」

自衛官には新人、階級に関わらず、与えられた任務をやり抜く事が求められます。その任務は救助、設備管理、通信、訓練、清掃などあらゆる任務を担当します。

任務の遂行完遂はもちろんのこと、全ての任務に徹底した報告・連絡を義務付けられています。

もちろん、民間企業でも業務をやり抜くことは必要なことです。

しかし、20代の若い社員に足りないと言われている「報告・連絡・相談」というビジネススキルを既に身に着けていることは職場に配属された後、非常に評判が良いです。

情報の抜け漏れが無く、ハキハキ話すことが好印象です。

 

「協調性」

任務は部隊ごと、小集団ごとに遂行することがあると思います。

そのような時にお互い意思疎通を取り合い、細かなコミュニケーションを取りながら任務を遂行していく仕事の進め方は、民間企業においても求められます。

複数人で仕事をする上で、工夫したこと、気を付けたことはアピールポイントになります。

 

「忍耐力」

自衛隊の時は、肉体的にも精神的にも厳しい訓練を経験しています。それは一般の人からすると想像以上の内容です。

指揮命令系統の遵守は絶対であり、上官の命令には従わなければなりません。厳しい任務の時も、諦めずに任務完遂させる心構えが評価されます。

 

「責任感」

任務完遂させるという意識が評価されます。

具体的には、目標や任務達成時の状態まで自分だけでやりきることが前提となる状況下で、出来なければ「自分のせい」だと思うことです。

任務を遂行するということは、自衛隊にいるときは当たり前のことだと思われるかもしれません。

PRするときには「自分には責任感があります!」とだけ言っても説得力はありません。

厳しい任務に遂行した経験やエピソードがいくつか伝えられると良いでしょう。

 

「体力がある」

実は体力があるということは、ポイントが高いです。

しかしPRの仕方には注意が必要です。例えば自衛隊在籍中の体力テスト、長距離テストなどの記録を伝えてもPRになりません。

例えば「勤務では24時間勤務も経験している」、「年に数回、長距離遠征に行っています」などの事例は評価する企業はあります。

勤務時間が長いということは、「突発的な残業対応も出来る」という評価になります。長距離遠征に行っているということは、「出張対応も慣れていそうだな」と評価されます。

あくまで、民間企業の業務に馴染めるかどうかという視点で評価されることを注意しておくと良いでしょう。

 

「自己PRが上手くまとまらない。」、「自分で考えてもしっくりこない。」、「この自己分析で間違っていないのか」などと、不安に思っている方も多いと思います。

自己PRをどのような視点で自分を見ればいいのか分からなくなることがあります。

そのような時におすすめしているのが、リクルート社が提供している『グットポイント診断』というものです。

理由は、無料で、診断結果が実用的だからです。

求人サイト リクナビNEXT会員限定のサービスです。ネット上で、選択形式の設問を応えていくだけで分析結果を導いてくれます。

「柔軟性」、「社交性」、「継続力」、「決断力」などの18種類の中から、あなたの強みを5つに絞って、分析してくれます。

18種類のカテゴリは、自己PRに使えそうな内容ばかりです。

診断結果はこのような形で表示されます。

診断結果をそのまま一語一句そのまま利用すると、コピペしようと同じような考え方をする人がいた場合、企業の採用担当者がコピーしたことが分かってしまうので、一部表現を変えて利用するのも良いと思います。

例えば、診断結果に、「和やかな人間関係を重視し、考え方やタイプの異なる人に対して拒否反応を示したり、自分の主張を押し付けるようなことはありません。」と出たとします。

そのような時には

「私は、職場の方と和やかな関係構築ができます。相手の考え方やタイプを理解して、相手の立場に立って、物事を考え伝えることができます。例えば過去に~~~できるよう工夫しました」のような具合です。

診断結果はあなたらしい強みを教えてくれます。これまで自分では気づかなかったような結果を得られることがあります。色々な視点から自己分析を行い、ブラッシュアップをかけていくことで、職務経歴書の完成が近づき、自分自身を知る良い機会となるでしょう。

 

5-5.階級の説明について

自衛隊の階級と民間企業の役職と表現が違うことは先に認識しておきましょう。

面接などで業務の説明をするときに、自衛隊の階級を言っても民間企業の人はどれぐらい偉いのか分かりません。説明する時には、補足しておくと良いでしょう。

自衛隊の階級と民間企業の役職のイメージは以下の通りです。

自衛隊の階級 企業の役職
防衛大臣 社長
幕僚長 副社長
将官(将、将補) 専務・常務、取締役
佐官(1佐、2佐、3佐) 本部長、部長
尉官(1尉、2尉、3尉) 課長
准尉、曹長、1曹、2曹 係長、主任
士長、1士、2士 一般社員

志望理由の書き方について

企業の面接する時には、必ず志望理由を聞かれます。

自衛隊を退職して、初めて民間企業に就職するときに何故その企業に応募するのか?という質問には、明確に回答できるようになっておきましょう。

「なぜ、この業界を希望したのか」

「なぜ、同じ業界のA社でなく、当社なのか」

「なぜ、この職種を応募したのか」

とあらゆる視点から質問を受けます。そのような時に答えに困らず回答できるようにしておくと良いでしょう。

想定質問集のPDFをこちらのページでご紹介しています。

>> 【PDF有・保存版】転職の面接で聞かれた過去事例|質問集まとめ

 

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。民間企業に就職活動を考えているときに、就職援護以外にもやり方があるということと、それぞれのメリット、デメリットをご紹介しました。

現在の任期制自衛官の就職先の雇用条件が、世間の就職事情とギャップがある背景からこちらをご案内しました。

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自衛隊を退職して新たに民間企業で働いてみようと考えている皆さまに、これからの人生の選択肢が広がることに繋がれば幸いです。

皆さまの転職が成功することを祈っております。