転職に軸を作る|自己分析4Step【シート付・完全解説付き】

「転職活動で自己分析は必要なの?」、「自己分析はどうやったらいいの?」と思っていませんか?

 

自己分析をしなくても、転職活動を進めて次の会社の内定を勝ち取ることは可能です。

しかし、いざ入社したあとに「思っていたのと違う、自分のやりたいと思っていることと違う・・」という後悔をして、再度転職活動をする人がいます。

このような理由の一つに、「今回の転職活動で何を成し遂げたいのか?」ということを明確にしておらず、内定をもらった企業にそのまま入社してしまい、ミスマッチが起こってしまっています。

そこで、自分の「何を成し遂げたいのか?」という答えを導き出し、「それを実現できる企業を見つけ出すこと」を自己分析で行います

これまで転職エージェントとして、数百名の転職支援を行い社会人未経験から正社員に転職しようとする方やITエンジニア、年収2000万を超える方まで幅広く支援を提供してきた中で、用いてきた自己分析手法をご紹介します。

 

こちらを読めば、自己分析シートと解説にそっていけば、自己分析を進めていくことができます。更には職務経歴書の作成がスムーズにいき、企業面接での質問への対策にもつながります。

 

0.自己分析とは?

自己分析をやっておくべき理由

転職した後に「本当に良かったのかな?」というミスマッチを避けるため(転職の成功)

転職を繰り返してしまう人の傾向の一つに、入社してから「自分のやりたいことと違う」と悩んでしまうことがあります。

過去から未来へ自分の人生の軸を持つため(キャリアの一貫性)

今の自分を形作っている経験や当時の思いや感情を振り返り、「自分が何をしたいのか?」という答えを導きます。それは仕事だけに関わらずプライベートも含めて振り下げていきます。

自分の思っていることを言葉にするため(企業の選考対策にも有効)

これまでの思っていることや考え、感情を言葉にしていきます。

「こういう経験をして、こう考えたから、これからこれをやりたい」という一貫性のあるあなただけのストーリーを作ります。

これが企業面接や相手に伝えて、納得させるために非常に有効です。

 

転職に軸を作る自己分析ツール

米国経営学者、「マネジメントの父」と称されるピータードラッガーが提唱する組織と人材が成果を出すための要素として、「must」「can」「will」の3つに分けられるとされています。

「組織で仕事をする人は、この順番を間違ってはいけない。出来なければ組織を去ること。」と提言しています。

企業を探し出すうえで、このプロセスを応用したのが、今回ご紹介する「Will・Can・Mustで導く自己分析4Stepシート」です。

  • Will = やりたいこと(ビジョン、やりがい、実現したいことなど)
  • Can = できること(経験、資格、スキル、人的ネットワークなど)
  • Must = 求められていること(期待される役割、機能、求める人物像など)

こちらの手法は、人材大手リクルートグループの人材育成制度に活用されています。その他NPOキャリアカウンセリング協会でも紹介、導入されており、転職活動をしようと考えているビジネスマン・ウーマンの人の自己分析手法として、適した手法になっています。参考:「実践するドラッガー[思考編]」

3つの要素のうち1つでも抜け落ちてしまうと、転職のミスマッチになりかねません。

 

また、一度社会人を経験すると、これまでの経験やスキル(Can)ばかりPRしてしまいがちですが、新たな仕事を率先して覚えていく(Will)努力姿勢をPRすることも重要です。

これまでのキャリアの振り返りを行い、自分自身の将来への軸を明確にして、社会のニーズに照らし合わせて、ミスのない転職への役立てていただければ幸いです。

 

 

 

1.Step1.キャリアの振り返り|振り返り表でキャリアの棚卸し

自分だけのキャリアの振り返り表を作ってみる

自己分析の4Stepは、振り返り表を作成するところから始まります。しっかりとこれまでのキャリアを振り返りましょう。

身につけたスキル、成功体験などのキーワードが「Will」、「Can」へとつながっていきますので、しっかりと埋めておきましょう。

年月日・年齢・部署・仕事概要

日付と年齢、部署、役職を調べておくと、後々履歴書や職務経歴書に記載するときに役立ちます。

仕事内容

自分の担当した仕事の代表的な業務を挙げていきます。

特に自分の成長につながっていると感じる仕事や、キャリアの転機になったような業務はどんどん入れておきましょう。

時期によって仕事の内容の変化を見返すことで、これまでの仕事の領域や業務内容を把握することができます。

この項目の中から職務経歴書に記載すべき内容を決めておくときも役立ちます。

成功体験・失敗体験

成果が出た仕事だけでなく、また大小問わず、成功・失敗体験を挙げていきましょう。そのときに感じたことや学んだことも書いておくと良いでしょう。特に失敗体験に関しては面接の時に良く聞かれるキーワードですので、過去の経験を振り返りする機会にしっかりと情報を整理しておきましょう。

モチベーションのアップ・ダウン

成功・失敗体験やプライベートでの出来事などで、モチベーションの上がり下がりを曲線で書いてみましょう。もちろんモチベーションがダウンしているときもしっかりと残しておきましょう。

ここで、明確にしておくべきことは「自分がどのような状況で、どのような経験をするとモチベーションが上がるのか?下がるのか?」ということです。

「仕事の成果が出た時」、「昇格したとき」、「結婚した時」などあなたならではのきっかけを見つけておきましょう。

身についたスキル

後の「Can」で使う項目です。自分の得意だと呼べる業務や他の会社で活かせると考えるスキル、失敗から学んだことなど思いつく限り挙げておきましょう。

ここでは職務経歴書で書く項目を準備する、面接でのアピールポイントの整理を行います。

プライベートのイベント・変化

仕事以外で今の自分の成長につながっていることを挙げてみましょう。

家庭環境の変化、スポーツをやり始めたなどの趣味のことなど、幅広く書いておきましょう。実はこれからの人生の優先順位を左右するようなイベント(結婚、出産など)から、これからのキャリアを考えるきっかけになります。

 

2.Step2.Will 自分がどうしたいのか|モチベーションの源を探る

自分の過去を振り返り、将来へのビジョンを見つける

「Will」の自己分析において、二つの分析を行います。

・あなたのWill(=やりたいこと)を探る12の質問リスト

・現状の満足/不満足に思っているところから、自分の理想とする状況を思い描く

Willを探る自分への質問リスト

「過去・未来」、「仕事・プライベート」の2つの軸から自分自身に問いかけていきます。

自分の興味のある分野やテーマ、これまでの人生の岐路の中で決めた判断軸とは?という視点からあなたの「価値観」を探っていきます。

全ての質問に対して、「何故そう思ったのか?」という深堀りをしていくことが重要です。

それぞれの質問でぱっと思いつく事例でも、丁寧に「どうしてそう思うのか」に対する答えを導いておきましょう。

 

理想の状況を探る

「会社」「仕事」「人」の3つの項目に対して、「満足していること」「不満に思っていること」「どんな状況が理想か?」という洗い出しをしていきましょう。

目的は、自分の理想とする働き方のイメージを導き出すことです。ポイントは不満を解消するための理想(=Will)を書いてみることです。

例えば、給料に不満があるのであれば、「高給」と書きます。不満に思っている状況を裏返しで書いてみることです。

その後、あなたの理想とする状況について、これは叶えたいと思うものから優先順位をつけていきましょう。

3.Step3.Can 自分の武器は何か|他で活かせるスキルを選ぶ

振り返り表をもとに他で活かせるスキルと価値を明確にする

「Can」の自己分析において、これまでの経験で培ったスキルを棚卸しします。

経産省が定義する3カテゴリ、12のスキルにならって、自分の強みと言える得意な業務、他で活かせるスキルを挙げていきましょう。

 

※経産省の社会人基礎力とは?

 

12のスキルに分類して客観分析する

振り返り表から発見した自分のスキルを整理していきましょう。これまで経験した仕事の中で、「これはスムーズにできた」、「他の人より優れている自信がある」、「周りから評価された」という業務から以下の2つの項目に当てはめてみましょう。

・自信のある、得意な仕事は何か?

・他の会社でも活かせるスキルは何か?

・自信のある、得意な仕事は何か?

参考例として、「プレイヤーとしての営業力」、「ビジョンを目標に置き換えて周囲に伝えていく理解力伝達力」を挙げています。

自分の今の職位を決定づけた要因として記載しています。キャリアを振り返り、自分の成長の種になっている項目を挙げていきましょう。

 

・他の会社でも活かせるスキルは何か?

参考例として、「チーム体制を作り、業務を仕組化するスキル」、「課題解決のための企画提案スキル」を挙げました。

これは会社や環境が変わったとしても、活かせそうなスキルを挙げています。その他にもプレゼンテーションスキル、英語スキルなども良いでしょう。

「Can(=できること)」で派遣できる項目を増やせば増やすほど転職活動でも「あなたの武器」が増えていきますので、非常に役立ちます。

また、考え方を変えると20代など若い方にとってはこの「Can(=できること)」をいかに増やしていくがスキルアップにつながることになります。

 

職務経歴書に活かすスキル「キーワード」

ここで、職務経歴書を書くことを前提に培ったスキルのキーワードの事例を紹介します。

社会人基礎力の「主体性」などのキーワードをそのまま用いても問題ないですが、オリジナリティを出すために、職務経歴書で使われている表現を各カテゴリごとに紹介します。

前に踏み出す力 アクション(主体性、働きかけ力、実行力)のカテゴリ

・瞬発力 短期間に集中して能力を発揮する力

・変革力 事業や業務などの物事を新しく変えていく力

・機動力 環境や状況の変化に素早く対応する力

・持続力 一定の水準の成果を出し続ける力

・統率力 同僚・部下の管理監督、指示命令する力

・交渉力 双方の意向を考慮し、合意に導く力

考え抜く力 シンキング(課題発見力、計画力、想像力)のカテゴリ

・課題分析力 課題の因果関係を理解し、要素を因数分解し構造化、解明する力

・理解力 相手の意向を理解する姿勢、する力

・文章力 相手に伝わる文章を書くための思考力

・企画力 新たな事業、業務を進めるために全体を俯瞰し、伝えることができる力

 

チームで働く力 チームワーク(発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力)のカテゴリ

・協調性 周知の人間の意見を理解し、物事を同じ方向に進めていこうとする力

・忍耐力 辛い環境や状況下においても、耐える力

・調整力 関係者への連絡、確認、決定させる情報発信する力

・気配り力 周囲の悩みや困っていることなどを察知する力

 

4.Step4.Must 自分が何を求められているか|企業の人材ニーズを探る

Will、Canをまとめて、企業のMustを狙い撃ち

「Must」の自己分析では、これまでの「Will」、「Can」で発見した内容をもとに志望企業を絞っていいきます。

「Will」の理想の状況である項目のうち5つを挙げた項目と、「Can」の身につけたスキルを再確認しておきましょう。その企業をもとに企業のMustと合致しているのかを見極めていきましょう。

会社・資格・求める人物像の3つを予想

企業のMustと合致しなければ、採用になることはほぼありません。しっかりと企業研究をしておきましょう。

企業研究で調査しておくべき項目は以下の通りです。

必ずチェックしておくべき項目

  • 求人票(求める人物像、必須資格・経験)
  • 企業のホームページ(経営理念、組織体制、人事体制・教育制度、社員の声、製品・サービス、取引先、沿革)

 

更に情報を深めるための項目

  • 新聞、ニュースでのトピックス
  • 社長名や製品名で検索して紹介されるニュース記事
  • 製品のユーザーの口コミ、評判
  • 既存・元従業員の口コミサイト(Vorkers、キャリコネなど)
  • 転職エージェントからの内部情報、企業情報
  • OB、既存社員との面談

これらの情報を総合的に勘案していきます。大事なことは直近1年以内などの情報が新しいものを見ていくようにしましょう。

 

企業のステージによって求める人物像

企業の成長ステージによって、求める人物像や会社の社風、やり方などが違ってきます。これは、創業年数や人数だけでは測りきれませんが、前項の求める人物像をリサーチするときの参考にしてみてください。

今回は「経営陣になれるチャンスがある会社を狙うべき」、「創業者がいて、ビジョンを大事にしている会社が合いそう」だと会社のイメージをつけています。

ここでは企業の成長ステージを選ぶうえで確認しておくことは、「経営に携わる機会でありそうか?」、「自分のような前例の人事がありそうか?」という企業調査をしていくことになります。

しかし、この「企業のステージ別の求める人物像」から見ると「成熟期」を迎えた企業の場合、入社した後経営陣になるまで時間がかかりそうだと、考察できます。

その他の調査方法として、企業の経営陣の経歴を調べてみると良いでしょう。「新卒入社なのか?中途入社なのか?」、「入社してから役員になるまでの勤務歴、年齢」などを見ておくと良いでしょう。

ベンチャー企業も多角期に迎え始めると創業メンバーや新卒社員しか経営陣にいないことなどよくありますので、チェックしておくとよいでしょう。

 

このように自分の描いているキャリアを実現できるかどうかを見極めるためにも企業調査を怠らずに考えていきましょう。

 

5.+α番外編 あなたのMustも|あなたの転職条件は?

転職活動をする前に決めておくべき7つの項目

これまではあなた自身の「Will」、「Can」と企業の「Must」を考えてきましたが、家庭を持っている人などは転職はあなた一人の問題だけでは無くなります。

しっかりと家族の状況も踏まえて、条件を決めていくと転職のミスマッチが減っていきます。

6.まとめ

転職に軸を作る自己分析として、分析シートを使って行う自己分析方法をご紹介してきました。

自己分析は、自分自身の過去を振り返る時間として時間と労力がかかる作業です。しかしながら自分が心からは働きたい、働いている企業を見つけるためにも重要な工程です。

「まずは書いてみる、やってみる」ということをおすすめしています

ここでしっかりと振り返りをしておくと職務経歴書の作成がスムーズになり、かつ企業の面接にも質問への回答に困らないほど自分自身への理解が深まります。

人によっては、相談しながら振り返りたい、聞いてみたいという方は転職エージェントを活用することをおすすめします。

先ほどの企業調査でご紹介したように業界情報や求める人物像の情報を持っていますので、転職活動を進めるうえで有効です。

一度相談してみると良いでしょう。

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こちらの記事が皆さまの転職活動のお役に立てれば幸いです。