退職時に有給を使い切るための4STEP|円満退社に向けたコツを解説!

・溜まっている有給を使い切りたい

・退職するにも有給を使いたいというタイミングが分からない

・退職前に有給が認められないと言われた

などと、退職直前の有給の使いかたについて、お困りではありませんか?

勤めている会社に長く働いている人であれば、最大40日間の有給がありますので、2か月分の給料に相当します。せっかく使える有給なのであれば使いたいと考える方も多いのではないでしょうか。

こちらのページでは、有給を全て使い切るための方法について「4つのステップ」にまとめてご紹介します。退職前に有給を使っても円満退社できるようにするためのポイントについても、詳しく解説していきます。

こちらを読めば、有給を使うことで「職場に気が引ける...」ということにならなくなりますので、是非参考にしてみてください。

 

0.有給を全て消化させるためには引継ぎを第一に考える

有給を使い切るためは、引継ぎを終わらせておくことが大前提です。引継ぎをせずに有給を使うことは会社や職場への負担が大きく、有給を認められなくなります。

「退職日」より「有給を使い切る」ことを優先して考えたい場合は、退職を申し出る日を早めに設定しておくことが重要です。

有給を全て消化させるためには4つのSTEPを踏んでいけば、有給を使い切り円満退社することができます。

STEP1.退職準備(切り出す前に確認すべき3つ)

STEP2.退職申し出(退職の承認を得る)

STEP3.退職交渉(引継ぎスケジュールをもとに有給申請する)

STEP4.引継ぎの状況を見ながら有給消化

 

「有給を使うことは社員の権利だ」というスタンスではなく、一つひとつのステップを丁寧に踏んでいけば、有給を取得することが出来るでしょう。

 

1.有給消化をすべて消化させる4STEP

STEP1.退職準備(切り出す前に確認すべき3つ)

①有給を使える日数を確認しておく

有給を使える日数を確認する方法は3つあります。

  • 給料明細を確認する
  • 勤怠管理システム等、(給与明細が閲覧できる社内システム)
  • 上司もしくは人事関連部署に確認する

なるべく自分で確認するように努めましょう。上司などへ確認すると退職を気付かれたり、有給を何に使うのか?といったやり取りが発生しますので、面倒になります。

 

②就業規則の退職規定を確認しておく

就業規則で確認する事項は2つです。

  • 退職申し出の事項・・・・何日前までに申し出る必要があるのか?
  • 有給取得に関する事項・・何日前までに申し出が必要か?有給届の書類の有無

中には有給を使ったことが無い方がいらっしゃるかもしれません。有給の取り方について分からなければ職場の同僚にさりげなく確認するのも良いでしょう。

 

③業務の引継ぎにどれぐらいの期間が必要か把握しておく

現在担当している業務の引継期間がどれぐらい必要かを「〇〇日」単位で算出しておきましょう。日数を決める考え方として二つあります。

  • 「前任者から自分が引き継いだ時の期間」
  • 「OJTで引継ぐ期間」

一番わかりやすいのは、自分が前任者から引継ぎや教育を受けた期間を思い出すことです。仕事を理解して、なんとか一人で作業できるようになるまでの期間をイメージすると良いです。

その他には「OJTで引継ぐ期間」の観点から、期間(日数)を決める方法です。

 

人事部給与計算する仕事の場合

給与計算を担当する場合、月末月初の給与処理を後任者と一緒に仕事しながら引継ぎます。引継ぎ期間の算出についてサンプル

< 給与計算業務の場合 >

カテゴリ 期間 日数
説明期間 ・給与計算システムの説明
・社会保険手続きの説明など
2日
OJT ・タイムシート・勤怠確認
・給与計算システム入力など
5日
フォローアップ ・ミスしたところがあれば対策する
・次月以降の不安への相談
3日
合計 10日間引継ぎに必要

 

後任者の業務経験やスキルによって日数が前後する可能性がありますが、退職の申し出る時は概算のスケジュールで問題ありません。

また、採用職の場合学生の新卒採用や期末決算業務など限られた時期だけに行う業務がある場合、退職時期が重ならない場合は、過去の事例を基にシミュレーションで作業する期間と考えて算出しておきましょう。

 

STEP2.退職申し出(退職の承認を得る)

「STEP.1退職準備」で確認したあとに直属の上司に退職を切り出します。ここでは退職の承認を得ることが一番の目的です。職場の繁忙や上司の仕事の区切りが良いタイミングで面談を申し出ましょう。退職を切り出すときの注意点はこちらです。

声をかけるときの作法

  • 伝える相手は、役職に関係なく直属の上司
  • 声をかけるときは、神妙かつ謙虚な姿勢で
  • 話すタイミングは相手の状況を見て
  • 周囲に人がいない場所で話す

 

退職話の切り出し方の注意点4つ

  • 冒頭から退職を考えていることを伝える
  • 複数の話題を話すことはNG
  • 「退職そのもの」を相談することはしない

 

退職の切り出しで上手く承認が得られないなど退職トラブルにならないよう、進めることが大切です。詳しくはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

 

STEP3.退職交渉(引継ぎスケジュールをもとに有給申請する)

上司との退職に向けた面談においては、有給を使いたいことを必ず伝えましょう。退職を切り出す最初の面談で伝えると良いですが、退職日や業務の引継の後任が決まっていなければ有給消化も認められないこともあります。

そのため、2回目以降の退職に向けた上司との面談で退職日、業務引き継ぎ期間、有給消化の3つを決めていきます。

この時に業務引き継ぎ書の準備をしておくと、上司や後任者が業務引き継ぎ期間を予想しやすくなります。

後任者が「理解しやすい」業務引き継ぎ書を作成することが大切です。作り方やテンプレートについてサンプル付きで解説しています。

 

STEP4.引継ぎの状況を見ながら有給消化

業務の引継ぎの進捗を確認しながら、有給消化していきます。有給消化中であっても、後任者が困ったことがあれば連絡がとれるようにしておくと有給を認められやすくなります。

 

2.こんな有給の使い方もできる2つのテクニック

第1章ではご紹介した退職日までの業務の引継とのバランスを見て、有給を使う方法を紹介してきましたが、こちらでは会社の規定によっては違った形で有給を消化させる方法があります。

2-1.有給を買い取ってくれる

会社によっては「退職時に有給の買い上げ」をしてくれるところがあります。

(労働基準法39条)により原則、法定で定められて付与される有給を会社側が買い取ることはできません。例外的に以下の場合に限り有給消化が認められており、有給を買い取る会社があります。

< 例外的に有給の買い取りが認めれらている場合 >

  • 退職時に未消化分の有給休暇がある場合
  • 2年間の時効が消滅する場合
  • 法定有給休暇を超える日数分を買い取る場合

会社は有給を買い取る義務はありませんが、「業務の引継ができないなどの退職トラブルを防止するため」、「社会保険料の支払いコストが削減できる」といった理由から買い取る場合があります。

注意点として、有給買取の場合「給料単価が下がる」ことを想定しておきましょう。法律上義務付けられているものではなく、会社の善意で行う制度になります。正社員であれば「5千円」、契約社員「4千円」などと通常の給料の何割か減額されている場合がほとんどです。こちらは事前に確認しておき、買い取りしてもらうかどうか検討しておくと良いでしょう。

 

2-2.有給消化中に次の会社に入社する

有給消化中に転職先に入社できる場合があります。「二重就労」は法律で禁じられていませんが、会社の就業規則で禁止されている場合があります。

確認・手続きすることは2点です。

  • 退職する会社と転職先のどちらも二重就労を認めているかどうかを確認する
  • 退職する会社で雇用保険の喪失手続きを行う必要がある

二重就労を禁止している場合、懲戒解雇の事由にあたりますので、有給が認められない、退職金が支払われないということに成りかねません。

仮に二重就労を認められている場合、社会保険の雇用保険の喪失手続きを行ってもらう必要があります。社会保険のうち「健康保険」、「厚生年金」、「労災年金」は二重加入できますが、「雇用保険」に二重加入はできません。

会社に雇用保険の喪失手続きを行ってもらい雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」を転職する会社に提出しましょう。

 

3.退職時の有給消化で良くある質問事例集

3-1.派遣社員の場合、有給消化はどうすればいいの?

派遣社員の方の場合、派遣契約期間中に有給を使う必要があります。基本的に派遣契約と雇用契約の期間は同一です。派遣期間中は派遣先の了解を得る必要がありますので、派遣元企業の担当者と相談したうえで有給を使用しましょう。

もし派遣先の業務の都合上派遣期間中に有給を使えなかった場合は、派遣期間が終了後に有給消化日数分について雇用契約を延長してもらうことができます。

 

3-2.退職時の有給消化中にボーナスは支給されるか?

ボーナスの支給日に在籍していれば、有給消化中であってもボーナスは支給されます。あくまでボーナスの算定期間中の勤怠評価に対して支給されるものですので問題ないでしょう。

しかしながら、どの会社も算定期間中に有給を使っていなかったとしても、退職が決まっている社員のボーナスは通常より低いなることがほとんどです。これはボーナスの意味合いに「今後の活躍への期待」という上乗せ分があると考えているからです。

 

3-3.もし退職する時に有給消化が認められない場合は?

業務の引継が問題ないにも関わらず、直属の上司が有給の申請を認めてくれない場合があります。

その場合は、正しい法令知識を押さえながら上司に話すことが大切です。

有給の取得について、労働基準法39条第5項において、「使用者は、労働者が請求する時季に与えなければならないと定められています。」

会社側においては、時季変更権と呼ばれ、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」とも定められています。

しかし、あくまで取得時期の変更を依頼するものであって、会社側が有給消化を拒否することはできません。

退職までに一日も有給が認められない場合、労働基準法違反として労働基準法119条に基づき会社側は罰せられます。

中々認められないと思った時は、「労働基準監督署に相談します」と伝えるだけでも、充分な抑止力になりますので効果的です。

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。退職前に有給を使うためのポイントをご紹介してきました。後任者への引継を第一に考えて、謙虚な姿勢で有給を使わせてもらうよう心がけるだけで、周りの協力が得られますので、有給消化しやすくなります。

有給を使いながら、スムーズに退職できるように退職手続きに抜け漏れがないようにチェックしておきましょう。

 

こちらの記事が皆様の円満退社するために、お役に立てれば幸いです。