「できればブラック企業には入りたくない」
「ブラック企業を避けるためにはどうすればいいの?」
「ブラック企業はどういう業界に多いの?」
このような疑問を持っていませんか?
世間ではブラック企業という言葉が一般的になっており、ニュースでも日本各地で過労死自殺や訴訟問題の事例が流れています。また近年では、残業時間の抑制など労働法に関わる改正が進められており、働く環境が変化してきています。
その中でも毎年発表するブラック企業大賞が注目を集めていますが、それらの企業はあくまで氷山の一角にすぎず、実際にはそのような会社は数多く存在します。
いざ自分が転職活動をしたときに、ブラック企業に就職してしまい、過酷な環境で働かなければならないことは避けなければなりません。
こちらのページでは、ブラック企業を回避するためのポイントを解説します。企業の人事責任者として経験している筆者の目線からブラック企業の”あるある”事例をもとに、皆さまが今日からでも使えるチェックポイントをご紹介します。
1.ブラック企業が多い業界とは?
ブラック企業と呼ばれる企業が多く存在する業界は飲食業界、不動産業界、人材派遣業界、IT・通信の下請け系が多いです。職種は営業やエンジニア職がやはり多いようです。
そもそもブラック企業の定義はありません。特徴として厚生労働省も発表していますが、要約すると下記の3点です。
- 長時間労働・ハラスメントが常態化している
- 残業代や手当の未払いなどの違法行為がなされている
- 採用・離職が繰り返され社員が使い捨て状態になっている
最初の2つは、企業の外部の人間が把握することは難しいですが、3つ目については、企業の採用履歴や企業研究からある程度見極めることができます。
なぜなら、話す内容や求人を見ても見栄え良く表現していて、一見気づきにくいかもしれませんが、普通の会社ならばあまりしないような内容が見受けられます。
こちらでは、その見極めるポイントを包み隠さずご紹介します。こちらをすべて読めば、高い確率でブラック企業を見分けることができるでしょう。
2.【企業研究】するときにチェックするポイント
2-1.求人広告
『給与幅』
同業種に比べ著しく給与が高い場合や、給与に幅がある場合です。例えば、年収300万~2,000万円のような場合です。その場合、上限の給与設定は虚偽であるか、もしくは在籍年数20年などベテランクラスの年収など特別な例を載せて、あたかも高年収であるかのように見せているケースです。
その求人の場合、賃金テーブルがしっかりしていない限り、年収300万程度になる可能性が高いです。
『募集期間』
募集期間が長い求人には注意しましょう。1年以上出している求人は要注意です。
採用予定人数に達していない場合もありますが、離職率が高く常に人材不足になっている可能性があります。求人サイトを利用しているとかなり前から出ている求人があることに気づくと思います。転職エージェントを活用した場合、募集期間を確認しましょう。
『資格要件』
応募要件のハードルが低すぎる、もしくは無い場合は要注意です。「未経験可」、「学歴不問」、「資格不要」の記載だけの場合です。
「●●の経験があれば尚可」などの記載があれば別ですが、ハードルが低く設定して誰でも該当してしまいそうな記載だと、少しでも応募を集めて、とにかく人が欲しい状況だと推測され、離職率が高い可能性があります。
『活躍する人物像』
「成果主義」、「実力主義」、「裁量ある仕事を任せます」、「自らの頑張りが成長につながる」、「若くて昇格するやりがいのある環境」などのフレーズが複数ある場合は要注意です。
これらは、中小企業やベンチャー系に多い記載で、若くてやる気のある成長意欲の高い人材をターゲットにしていると思いますが、教育環境や制度がしっかりしていないため、評価は本人次第である場合が多いです。最悪の場合、放置、または悪い人間は外に追いやるような風土だったりします。
『採用人数』
大量採用している場合は要注意です。新規営業所立ち上げや部署設置に伴う増員で大量採用するケースがあり得ますが、単に離職が多いため、大量に採用しておかなければならない場合があります。
とにかく大量にとって、そのうち1割から2割程度良い人材が残れば良いという考え方です。その割合に入らなければ無理やり試用期間満了で退職させるか、自己都合退職させる会社があります。俗にいうソルジャー部隊です。
2-2.口コミサイト
現在就業している社員や退職した社員などの実体験が記載されている口コミサイトは、リアリティのある情報です。ネット上の情報の為、信頼性を保証するものではありませんが、情報収集の一つとしては有効です。
おすすめ口コミサイト
複数の口コミサイトを見比べておき、希望する部署や職種のコメントの評価がどのようなものか、年収はどれぐらいかを確認しておき、求人票と照らし合わせることも有効です。
信頼性を確認する方法として、自分が働いている会社を調べてみることです。意外な評価をしているコメントもあれば、あるある、というようなケースもあるかもしれません。
注意すべきは、この口コミサイトの情報で転職の意思決定をしないことです。あくまで他人の主観に基づいて書かれているため、実際に、説明会や面接の中で自分の目で見極めることが重要です。
2-3.就職四季報
就職四季報は、老舗出版社である東洋経済新報社が毎年発行しているものです。就職活動生向けに出版されたハンドブックです、特徴は掲載されているデータは、企業宣伝目的でないため、客観的な数値を示しています。
『離職率』
確認しておくべき数値は、『3年後離職率』です。厚生労働省が発表する職業安定業務統計によると、大学新卒の3年以内の離職率は3割程度とされています。四季報に記載される数値が30%を大きく超えていると要注意です。
大手企業は通常5%程度ですが、それ以上の場合、早期退職を募るなど人員整理をしていない限り、怪しいとみてよいでしょう。
3.【説明会・企業訪問】するときにチェックするポイント
3-1.オフィスにいる社員の対応
働いている社員と会った時に、挨拶が無かったり、無愛想であるように、態度があまりよくない場合です。これから一緒に働くかもしれない応募者に対応が良くなければ、入社後も同じような対応である可能性があります。
3-2.説明内容に精神論が入る
企業の事業説明や業務説明の中で、精神論が入る場合は要注意です。
「感謝」「根性」「気合」「やる気次第」このようなフレーズが、頻繁にあるような場合です。仕事の成果を上げる大きな要因が、モチベーションであるという説明は人に依存しすぎており、組織が成熟していないケースが多いです。そのカルチャーに合わなく、退職してしまう事例がよくあります。
3-3.説明が曖昧
説明の中で、「給与や賞与の決め方」、「平均残業時間」、「離職率」の説明に具体的な説明がない場合は、企業にとって都合の悪い場合が多いです。
例えば、平均残業時間の説明のときに、「残業時間は人によります。」「早い人はすぐに帰ります。」のような表現で、残業時間を明確に伝えないような場合です。
質問に答えられない場合は、数値を把握していない場合もあると思いますが、大体は不都合があるため伝えたくない場合がほとんどです。
4.【面接】するときにチェックするポイント
4-1.質問がプライベートな内容ばかり
通常、面接では応募求人の必要スキルを満たしているか、質問の意図を理解して回答できているかなどのコミュニケーション能力を確認します。また自社の従業員との相性を確認するために、休日の過ごし方や趣味、好きなこと、嫌いなことを確認して、その人の価値観を探ります。
しかし、中には「彼氏彼女はいるか」、「両親とはうまくやっているか」、「子供をつくる予定はあるか」、「ギャンブルはやるか」など求人の内容と程遠いような質問を行い、スキルチェックせず面接しているケースです。
面接官の好き嫌いで判断していると言ってもいいような場合です。公私混同してしまうような、ハラスメントが常態化している職場である可能性が高いです。
4-2.雑談ばかり
面接の時に雑談をして人物評価をする場合、「その人と話しやすいか、テンポよく話できるか」といったポイントを見ています。
よく社長、役員クラスとの面接で、顔合わせを目的に行う面接であれば、あり得るケースですが、人事担当や現場担当が行う面接では、ビジネスマナーやスキルチェックしなければいけない時に、雑談だけで終わってしまう場合は要注意です。
これは、雑談程度の会話が成り立てば、誰でも良いぐらいにしか思っていない場合があります。
面接が楽に終わった、というだけでは終わらないように注意しましょう。
面接官の態度にチェック
企業が応募者を絞り込むため、人を選ぶ立場であると同時に、企業も応募者から選ばれる立場にあるにもかかわらず、横柄な態度を取ったり、威圧的な態度をとるような社員が面接した場合は要注意です。
人事権を持っている=「立場が上」と勘違いしており、失礼な態度をとってしまうような人間は、社内や取引先にも失礼な態度をとってしまう可能性があります。
営業が企業の顔と言われているのと同様に、面接官も企業の顔です。面接官の教育が行き届いていない企業は、労働環境や教育が行き届いていない場合であります。
5.【内定・入社前】にチェックするポイント
5-1.雇用契約書を締結しているか
労働問題に発展した場合、発生状況と法律や就業規則、雇用契約書の契約内容を比較します。雇用契約書は、従業員と会社をお互い契約で保護する役割を果たしています。
何かあった場合には、契約内容が全てですので、最低限やっておくべきことです。
しかしブラック企業の中には、この雇用契約書すら締結していない企業があります。また雇用契約を準備したとしても必要事項が明記されていない場合があります。
法律上必要な事項ですので、全て記載があるかどうかを確認しましょう。
5-2.雇用契約内容に違法性が無いかを確認
雇用期間
正社員の求人であったのに、契約社員などの有期雇用になっていないか
就業場所
勤務地、異動転勤の有無については必ず確認しておきましょう。
労働時間、休日
一日8時間、週40時間以上の契約になっていないか、変形労働制の場合、労基署への届け出を確認しているかを確認しましょう。
給与
残業代の支給について、記載されているか。よくある例として、求人票の基本給の中に固定残業代が含まれている場合です。
固定残業代とは、定められている残業時間を実際に行わなくても、固定額を支払うというものです。一般的には40時間程度固定残業代として支給し、月給を高く見せている求人が多いです。
試用期間について
試用期間が長めに設定されていないか、一年以上設定されている場合はブラック企業の可能性があります。試用期間を長く設けて人件費を削減しようとしている場合や、最悪の場合、試用期間満了で退職させられるケースもあります。
このようなポイントで、企業選びの段階から選考時において、ブラック企業であるかどうかをチェックして、できるだけ避けるように心がけましょう。
6.まとめ
ここまでブラック企業を見極めるためのポイントをご説明してきました。
労働環境が過酷で、人間関係が良くない職場はとにかく離職率が高いです。しかし、そのような職場を見極めるポイントは多数あります。
その一つに、大量採用しているかどうかというポイントにおいては転職サイトには数多く掲載されています。一見すると、簡単に受かりそうな印象を持つように書かれていますが、注意が必要です。大量採用にはソルジャー部隊の激しい離職率の高い企業が存在するからです。
そのようなブラック企業を避けたいという方には、転職エージェントの活用をおすすめします。理由は以下の通りです。
採用コスト
企業が転職エージェントを利用して採用すると、成果報酬として、年収の30%程度を転職エージェントに支払わなければなりません。例えば年収400万の方を採用した場合、120万円を転職エージェントに支払わなければなりません。
そのため、大量採用をして、良い人間だけふるいにかけていくことなど、コストの面から到底できません。そのため、比較的安価に採用できる求人サイトに大々的にPRして応募を集めています。
また、転職エージェントと採用企業との契約に『返金規約』というものがあります。入社後3か月から6か月以内に自己都合退職した場合、紹介した報酬として支払われる謝礼金の50%を返金しなければならないというものがあります。
紹介した候補者がすぐに辞めてしまっては、転職エージェント側としてもビジネスになりませんので、紹介する求人は慎重に選びます。
どんな人でも入社してからすぐに辞めている会社は退職までの期間や理由を確認します。退職理由に問題があれば転職エージェントとしてもその企業の求人を取り扱わないようにしています。採用企業の過去の取引や紹介者の実例から、転職エージェントも採用企業の良い面も悪い面も把握しています。
採用企業の事情をよく知る転職エージェントから紹介してもらうことで、ブラック企業に出会う確率はぐっと減らすことができます。
※中小の転職エージェントには要注意
中小企業の転職エージェントはとにかく取引実績が欲しい、数値目標を達成しなければいけないという事情があり、とにかく紹介・採用させようとする悪い転職エージェントがいることも事実です。
そのため、企業の見極めに不安がある方には、まずは大手の転職エージェントの利用をおすすめしています。
以下の3社は、企業の採用背景や目的、採用したい人物像などヒアリングをしっかり行い、状況を理解しています。また、専門の担当者によるキャリアアドバイスも丁寧ですのでおすすめです。
・パソナキャリア
・dodaエージェントサービス
・Spring転職エージェント
転職に関する相談、サービスを受けることは無料ですので、専門家に話を聞きにいくだけでも非常に有効です。
転職するべきなのか、転職活動にはどれぐらいかかるのか、準備するべき書類は何があるのかなど、初歩的な内容も丁寧に教えてくれます。
こちらの情報が、皆様のこれからの転職活動にお役に立てれば幸いです。