「派遣社員の職歴を職務経歴書に書くべき?」
「職務経歴書にどう書けばいいの?」
と悩んでいませんか。一般的に職務経歴書は、正社員の職務経験を書く書類と認識されていますが、近年では企業が選考するために必要な情報を書いておくことが重要と考えられており、派遣社員の経験を書いておく方が良いとされています。
しかしながら、必要のない情報を書いてしまったり、書き方を誤ると書類作成能力が低いと判断されてしまうリスクがあります。
こちらでは、企業の人事責任者として経験と、前職までの転職エージェント時代に数百名に転職支援してきた知識も踏まえて、採用担当者が職務経歴書を見るポイントを解説しながら派遣社員の職歴の書き方と注意点をご紹介します。
こちらを読めば、派遣で働いていた時の職務経歴書の書き方を理解することができ、企業の書類選考の評価ポイントが分かり、あなたの転職の成功に近づくことでしょう。
1.職務経歴書とは?
1-1.職務期経歴書の役割・目的
企業に応募するうえで、履歴書と職務経歴書の提出を求められる場合があります。企業が人材を選考する上で、二つの書類の使い方、評価項目が異なりますので、応募書類の基礎知識として押さえておきましょう。
履歴書 | 職務経歴書 |
入社後に必要な 人事情報を漏れなく書く |
選考突破に向けて PRポイントを絞って書く |
履歴書はあなたが入社したあとの交通費計算、社会保険手続き等で使用する書類ですので、面接の時にはあまり使用しません。
どこに住んでいるのか、趣味・特技などあなた個人のことを知りたいときに質問する程度と考えておいて良いでしょう。
職務経歴書は選考・面接の時にしか使用しません。派遣社員の経験しか無かったとしても、企業にPRできる経験を持っている人であれば、職務経歴書を準備しておいた方が良いでしょう。
次の企業で活かせる経験をしっかり書いておけば、選考通過率の向上につながります。
2.派遣社員の経験を書くべき人
2-1.求人企業にPRできる業務経験・スキルを持っている場合
職務経歴書は企業選考のために使用されます。以下のような経験をしている人は職務経歴書を準備しておくと企業採用担当があなたの能力・スキルを評価してくれます。
Case1.応募企業の職種の経験を持っている
応募職種の経験もしくは近い経験がある場合は、ぜひ職務経歴書に書いておきましょう。
直接関係のない業務経験であったとしても、何かしらの接点を見つけて書いておくと面接の時のPRがスムーズに進めることができます。
例えば、接客業や販売業など対人スキルを身につけている人であれば営業職などにも活かせるでしょう。
Case2.一年以上の職務経験を持っている
数週間程度の短期間の派遣経験を経歴書に書くのはNGです。たとえ元々派遣期間が短く決まっていた仕事であっても、企業へのPRにつながりません。
派遣の仕事を転々としていて、全て一年未満の場合は、応募する仕事に近い経験、もしくは最も勤務期間が長いものを書くようにしましょう。
もし、短期間の派遣の仕事を書く場合は、何故短期間の派遣の仕事をしていたのか説明書きをいれておくと良いでしょう。
例として、「次の仕事が決まるまでのつなぎの仕事として考えていたため。」というように、あえて短期間の派遣の仕事を選んだということを伝えるようにしましょう。
2-2.このような派遣社員の経験はNG!
職務経歴書は、企業選考の時にスキルチェックするための書類です。そのため選考するうえで必要のない情報は書かないほうが無難です。
- 短期間の派遣
- 次の仕事に全く関係のない経験
3.派遣社員の経験をPRすべきポイント
業務スキル
企業が派遣社員に任せたいと思っているときは、「一定の作業手順が決まっていてその仕事をしっかり実行できる人を求めている」、「人手が足りないので、仕事を任せられる人がいい」という要望が多く、企業運営に必要な業務を運営できる人です。
担当する業務のオペレーションに関する知識は、担当している方が最も詳しく知っています。担当している業務の専門性やオペレーションスキルをPRしていきましょう。
応募している企業の業界や職種との接点がある業務経験を入れておくと採用担当者の評価につながります。
- PCスキル(エクセル、ワード、業務システムなど)
- 業界知識、関係企業との折衝経験(IT業界、医療業界など専門業界の情報に明るいというだけでも採用担当に評価されます)
- 仕事の進め方(オペレーション、報連相のスタイルなど)
仕事内容だけでなく、業界情報など接点があるような経験を書いておくと良いでしょう。
新しい環境での順応性
派遣社員として働いた経験がある人は、複数の派遣先を経験していることが多く、派遣先の業界や慣習、業務の進め方が様々です。
大手企業からベンチャーまで様々な環境下で仕事をこなしていくための順応性は、評価されるポイントです。
これまでの経験などにこだわらず、新たな業務を覚えていく素養があると考えられています。それらをPRするときに以下の視点を盛り込んでいくと良いでしょう。
- 人間関係の構築するためのコミュニケーション
- 新しい業務手順を覚えるための工夫、心がけていること
多様な業界、企業での経験
前項の「新しい環境での順応性」に加え、これまで派遣で経験していた業務経験と業界知識が活かされる場合があります。
例えば、庶務業務の派遣の仕事をしている人であれば、経営陣とのコミュニケーションを取るときに工夫していたことなど、あまり多くの人が経験したことではありません。
あなたが工夫していたエピソードなどがあれば、自己PRなどに入れておくと良いでしょう。
4.職務経歴書の書き方(サンプル)
職務経歴書の書き方は大きく分けて「編年体式」、「キャリア式」の二つのタイプがあります。
・編年体式:一般的なフォーマットです。時系列の順に職歴を書いていくので、あなたのキャリアの過程が伝わりやすく志望動機などの説明もしやすいというメリットがあります。
・キャリア式:これまでの経験を職種ごとに分けてまとめるフォーマットです。応募職種の経験をまとめて書けるためPRになります。転職回数が多い人にはおすすめですが、時系列が分からず、あなたのキャリアが伝わりにくいというデメリットもあります。
以下のサンプルを参考にしてみてください。
職務経歴書の書き方 編年体式
編年体式のフォーマットを利用しておけば問題ないでしょう。具体的な職務経歴の書き方について、不安のある人は、転職エージェントと言われる転職支援を行う企業に相談してみても良いでしょう。
職務経歴書の書き方 キャリア式
キャリア式の職務経歴書を書く場合の注意点は以下の2点です。
・次の仕事に活かせる仕事を先に書く
現職(前職)の職務経験でなく、それより以前の職務経験であったとしても問題ありません。PRできる経験から順に書いていきましょう。
・次の仕事に関係のない仕事はキャリア式の職歴カテゴリとして作らなくてよい
応募職種に関係のない職務経歴は、箇条書きで以下のような表記で簡単にまとめておきましょう。
一社から複数の派遣先で就業した場合
登録制の派遣会社で働いていると、複数の派遣先で就業することはよくあるケースです。連続して就業している場合は、同じ職歴欄に統合させてしまった方が、分かりやすくなります。
各派遣先企業および職場の簡単な説明を入れておけば問題ないでしょう。
5.人事採用担当者が派遣社員の経歴をチェックするポイントを知る
派遣社員の経験を評価する時に、業務経験・スキルをチェックすることに加え、あなたがこれからどのように働いていきたいのか?という就業観も同時に確認しています。
特に派遣社員から正社員になろうと考えている人は、このポイントも経歴と同レベルで重視していきましょう。以下の3つのポイントに分けて説明します。
何故、派遣社員という働き方を選んだのかを説明できるようにする
この説明の時に言ってはいけないワードは、
- 正社員として働きたくなかったから
- 正社員に採用されず、派遣で働いた
- まずは派遣で働こうと思いました
どのような雇用形態の求人であっても、「仕事に望む姿勢」を採用担当者は見ています。仕事への責任感の持ち方という評価にもつながりますので、派遣の仕事に応募したときの志望理由もブラッシュアップしておくと良いでしょう。
面接の質問対策にもつながります。そのような質問があった場合には、「派遣先を決めて異動転勤が無い働きかたをしたかったから、」など、あえて派遣での働き方をしたということを伝えるようにしましょう。
自分の業務だけでなく、組織全体の視野を持って仕事に望んでいる
ただ、任された仕事をこなすというだけでなく、組織全体を意識した視野・姿勢が評価されます。業務に主体的に取り組む姿勢やエピソードがあるとPRになります。
例えば、
- 仕事の目的を理解し、取引先や上司の目線を持った仕事の取組み
- 仕事を効率的に行うために心がけていたこと
- 新しい業務やスキルを身につけるために自ら進んで勉強したこと
- 業務で評価されたこと、表彰されたこと
このような事例やエピソードなどを入れておくとあなたの人柄や業務に取り組む姿勢が伝わりやすくなります。
派遣社員から正社員に応募する時の志望動機
派遣社員から正社員を希望する時は、2つのポイントを注意しておきましょう。
- 安定性を重視した働き方を希望して正社員を希望したと伝えてはいけない
- 正社員への志望動機に加え、他社ではなく◯◯だから御社を希望したという内容も盛り込む
安定性を重視した働き方を希望して正社員を希望したと伝えてはいけない
正社員の場合、雇用期間の定めのない契約で、昇給賞与、交通費など待遇面が良くなります。しかし、待遇面だけを理由に正社員を希望したと伝えないようにしましょう。
そうすると、「より良い待遇の求人が出てきたときに転職してしまわないか?」、「仕事の内容に興味が無いのか?」という印象を持たれてしまいます。
あくまで、専門性をつけていきたい、自分の裁量で仕事をする仕事に就きたいという意欲をPRしておくと良いでしょう。
派遣社員でなく正社員として働きたいと伝えて良い場合は以下のようなケースです。
- 育児などの家庭の事情から、あえて派遣社員として働いていた人
- 紹介予定派遣(派遣社員として働き、一定期間を経て正社員になれる制度)を利用している人
正社員への志望動機に加え、他社ではなく◯◯だから御社を希望したという内容も盛り込む
正社員の仕事に応募する時に忘れずに盛り込んでおくべき項目は
- なぜ、この業界の中でうち(応募企業)なのか?
- なぜ、競合他社のA社、B社でなくうち(応募企業)なのか?
という採用担当者の疑問を払拭できる理由を準備しておきましょう。
派遣社員から正社員を希望する人の多くは、安定性を重視して転職活動をする人が多いです。採用担当として正社員の福利厚生、給与だけを見て応募した人が、入社した後に「思っていた仕事と違う・・」という採用のミスマッチを避けるために、必ず志望動機を確認しています。
このような趣旨の質問をされますので、しっかりと答えられるようにしておきましょう。
6.職務経歴書を書く時の注意点
職務経歴書は、あなたのスキルチェックを行うための書類とご説明しましたが、必要な情報は、作業環境、業務内容、どのような人と仕事をしていたか、業務の責任範囲などの項目を確認しながら評価していきます。
その時に派遣社員としての経験を確認できるように、情報開示していくとスムーズに選考してくれます。以下の要点を押さえておくと良いでしょう。
職務経歴書には派遣元・派遣先両方を書く
派遣元企業(=雇い主)、派遣先企業(=就業場所であり、雇用主ではない)という事実を明確にしておきましょう。
ごくたまに派遣先企業だけを記載する人がいますが、派遣先に雇われているわけではありませんので、職務経歴の虚偽に該当しますので、注意しましょう。
守秘義務の制限を確認しておく
派遣先企業の中には、派遣開始前・契約終了の時に、守秘義務を誓約する書類をかわす職場があります。
官公庁、一部IT企業など機密情報を取り扱う職場は、どこにどのような仕事をさせているのかを外部に公開したくないという事情があります。
その場合は、公開できる範囲で業務内容を記載していくことになります。以下のような表現で書いておくと良いでしょう。
□官公庁内 某データセンターにて住民データベースの入力業務
□某ITベンダー企業(一部上場)にて食品メーカー向け生産管理システムのバグテスト・報告作業
ポイントは以下の点を押さえておきましょう。
- 企業名を表記しない。業種名などで表記する
- 拠点名、事業所名を表記しない。某◯◯という形で拠点の種類だけを分かるようにしておく
- 業務システム名などの固有名詞を避ける
守秘義務をしっかり守って書類を作成するメリットとして、応募企業に情報リテラシー(機密情報などの管理能力、活用能力)を伝えることができます。
派遣元の雇用期間と派遣期間を分かりやすく、分けておく
同じ派遣元から複数の派遣先で就業する場合は、雇用期間と派遣期間を分けて記載しておきましょう。
7.まとめ
派遣社員の経験も次の仕事に活かせる経験を、職務経歴書にしっかり書いておくことで企業選考を突破することができます。
そのために「派遣の職歴を書くポイントを整理する」、「守秘義務の範囲内で書く」というポイントを押さえておく必要があります。
職務経歴書の準備に不安のある人は、転職エージェントに相談しておくことも良いでしょう。派遣社員の経験だけ不採用になってしまったというケースもあり、中々書類選考が通らないというケースもあります。
転職エージェントを利用するメリットがいくつかあります。
- 職務経歴書を添削して、アドバイスしてくれる(書類の質を上げてくれる)
- 無料で利用できる
- 企業の人材ニーズを把握していて、派遣の経験でもよい企業を紹介してくれる(書類選考突破率が上がる)
- 自分と同じような経歴の人の転職事例を教えてくれる(将来的なビジョンを描ける)
それぞれあなたに合った転職エージェントを選び、あなたの人柄や想いを理解しながら転職をサポートしてくれるでしょう。
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