「転職エージェントから面談の連絡が来たけれども、何を準備していいか分からない。」、「面談の内容が企業へ伝えられているの?」、「何を聞かれるの?」と思っていませんか?
転職エージェントとの面談の内容によって、紹介される求人や得られるサービスは異なります。転職エージェント側も、どの企業をあなたに紹介すれば良いか見極める機会でもありますので、いわば0次面接のような形で臨んでおくと良いでしょう。
転職エージェントとの面談を上手に進めていくことで、エージェントから非公開求人を紹介してもらうことが出来、転職の成功の一歩になります。
筆者の転職エージェントの経験と、複数の大手総合型エージェントや中小の転職エージェントを利用してみた体験談から面談内容をまとめ、詳しく解説します。
こちらを読めば、転職エージェントとの面談で行うことを知ることができ、事前に準備すべき内容が理解でき、転職活動を進めることができるでしょう。
1.そもそも面談をする目的は?
1-1.面談の目的
ほとんどの転職エージェントは登録後、面談する流れになっています。その目的は、転職者の状況確認、希望条件、キャリアの方向性を共有するためです。転職者の人柄や転職への思いなど直接会った方が伝わりやすいところは面談の時に確認しています。
また、転職エージェントは転職者がお客様にあたるため、ある面「転職者に選ばれる立場」にもあるため、双方の信頼関係構築のためにしっかりとしたコミュニケーションをとりたいと考えています。本音で話しをしてほしい部分もあるため、面接というより「フランクな面談」というような雰囲気で面談は進みます。
1-2.面談の方法・場所
面談の方法は大きく分けて「直接会う」と「電話」の二つのパターンがあります。
ほとんどのエージェントが直接会う面談形式をとっています。type転職エージェントなど一部のエージェントでは基本的に電話で面談を行っています。もちろん他のエージェントでも、就業中の人や時間調整が難しい人、遠方の人は電話での面談を希望して面談を受けることも可能です。
面談場所は基本的にオフィスで行います。登録後面談する担当者から電話、もしくはメールで連絡が入ります。その時に面談日時を決めて面談します。
中小の転職エージェントに多いですが、就業中の場合、勤務地の近くのカフェやホテルのラウンジで行う時があります。もちろん面談の時は個人情報を含む内容となるため、周囲への配慮をされています。
時間については比較的合わせてくれます。大体月曜~土曜、21時ぐらいまで対応していることがほとんどです。
2.面談までの流れ(登録~面談直前)
2-1.準備しておくべきもの
- 履歴書と職務経歴書
この2つの書類を準備しておくと、初回の面談からスムーズに話が進みます。職務経歴書など作成に時間がかかるような書類は下書き程度でも問題ありません。
面談のときに、エージェント担当者から経歴のヒアリングを受けるときに書類のアドバイスをもらえますので、その内容をもとに完成させていくこともエージェントの活用方法の一つですので、これで大丈夫かな?と不安に思う人も事前にその旨を伝えておけば大丈夫ですそ。
2-2.説明できるようにしておくとよいもの
- 転職の軸となる希望給与や転職時期の諸条件
- 転職理由、退職理由
- 経歴の内容
- これまでの実績(あれば尚可)
エージェント担当者からこれらの項目は必ずヒアリングを受けます。企業の面接でも質問される項目でもあります。エージェントとしても、企業に推薦すべき人材かどうか見極めているポイントになりますので、事前に準備しておくと良いでしょう。
特に実績に関して、過去の経験の棚卸しをしなければなりませんので、非常に時間がかかる作業です。実績のPRポイントとして過去の経験の言語化、実績の数値化、取り組んだことのエピソードをまとめるためには時間がかかります。
そのような事例を面談の時にいくつか準備しておくと、エージェント担当者から「その経験はPRした方がいいですね。」、「社内で初めてやったなど追記しておくと更に良いですね。」など具体的なアドバイスをもらえますので、まとめておくと良いでしょう。
2-3.面談前にエージェントに連絡しておくと更によいもの
登録した後から面談までの期間の間に、エージェント担当者へこれらの条件や経歴書を事前にメールで伝えておくと非常にスムーズに面談が進みます。
エージェントによっては、面談の時に諸条件に合った求人を準備してくれます。その準備した求人をもとに希望条件とのマッチングを図っていきますので、エージェントから受ける求人の質を上げるポイントになります。
面談までに書類をメールで送る作業が追加されるため、面倒だと感じるかもしれませんが、面談時に履歴書の住所や諸条件のヒアリングを省くことができるため、やっておくと良いでしょう。
3.当日の流れ
3-1.当日の持ち物と服装
よくある質問の中に持ち物と服装に関する質問が多いです。
持ち物
- 筆記用具
- メモ帳
事前に履歴書と職務経歴書をおくっておけば、書類の持参は不要です。エージェントの中には顔写真の持参を依頼されることがありますので、持ち物を確認しておくと良いでしょう。
服装
基本的にスーツ着用ですが、業界のスタイルに合わせて私服でもOKです。例えば次に希望する業界がエンジニア職などビジネスカジュアルな業風であれば、まったく問題ありません。しかし、短パン、サンダルなどは控えておいた方が良いでしょう。
身だしなみについては、髪型を整える、過度な香水を控えるなど清潔感に気を付けておけば問題ないでしょう。
3-2.面談の流れ
転職エージェントとの面談は、オフィスで行う場合60分~90分程度行います。大手総合型転職エージェントをいくつか利用してみたところ、一番多かった流れは以下の通りです。
①挨拶、自己紹介
エージェントのオフィスで面談する場合は、基本的に個室で行うところが多いです。受付をした後に個室に案内されますので、エージェントが来たら、「◯◯です。本日はよろしくお願いします。」という程度でかまいません。
最初は、転職者の緊張をほぐすために雑談をする担当者もいますが、すぐに経歴書をもとに面談が開始されるケースがほとんどです。
②履歴書の確認とおおまかな経歴の確認
提出書類の内、履歴書をざっと見て名前や住所、最寄り駅などを確認します。
この時に質問される例
- 希望通勤時間
- 最寄り駅までの手段(バスor徒歩など)
- 現職までの通勤経路
- 家族構成
- 学歴
- 保有資格の確認
簡単な質問ばかりですので、それぞれ簡潔に回答すれば問題ないでしょう。通勤時間は45分~1時間、1時間以内などある程度の条件を事前に決めておくと良いでしょう。
③職務経歴書・資格・スキル・実績のヒアリング
こちらの内容を重点的にヒアリングされます。面接ではありませんので、和やかな雰囲気のまま進んでいきます。基本的に口頭で説明していきます。経歴書を下書き程度で良いので、準備しておくと説明する量が少なく効率的です。クリエイティブ職の人はポートフォリオを持参すると話はスムーズです。
コンサルなど専門性の高い職種を希望している場合は、アサインされたプロジェクトなど細かく質問されますので、答えられる範囲で回答していきましょう。
初めて転職活動をする人にとっては、職務経歴書の作成が最も時間がかかる作業となります。社会人経験が10年を超えるような人になると数年前の業務内容の棚卸しからやらなければなりませんので、面談が決まったときから2~3日は余裕をもって作成に望むと、しっかりとした経歴書が出来上がるでしょう。
④転職理由・転職活動状況のヒアリング
転職エージェントから転職活動状況に関する質問を必ずされます。こちらを②、③の書類の確認の前にヒアリングするエージェントもいます。
質問される例
- 転職理由
- 応募状況、選考状況
- 他のエージェントの利用状況
こちらは、転職エージェントの考えは、この転職者が「すぐに転職しそうかどうか」、「他社で決まってしまわないか」、「転職する気があるのかどうか」という見極めをしています。
もちろん転職状況については、素直に話してしまっても問題ありません。しかしながら、転職エージェントの立場を考えると、
「この転職者は転職を本気で考えていて、すぐに転職先が決まりそうだ、他の候補者より優先順位を上げよう」と思わせることが重要です。そのため「他社を並行利用していていますが、面談は御社初めてです。」と回答しておくと良いでしょう。
⑤希望職種・業界・給与などの条件のヒアリング
希望条件をもとに転職者に紹介すべき求人を絞り込むためにヒアリングします。
このときには、ある程度職種を決めておくと良いでしょう。もちろん。一つに限定する必要はありません。年収などは最低限満たしておきたい条件を伝えておくと良いでしょう。
例えば、これまでの経理経験を活かして、財務全般に関わる仕事をしてみたいなどと、専門性を高めたい、キャリアアップしたいと考えている人は、考えている志向や想いを伝えておくことも良いでしょう。そのうえで希望条件に合う求人は現在の転職市場にあるのか無いのか判断がつきますので、エージェントを活用する一つの方法です。
⑥求人の紹介(エージェントによる)
面談の時に求人を紹介してくれるかどうかは、エージェント次第です。大体が10~多いと50件近く求人を紹介してくれます。
事前に履歴書・職務経歴書、転職の希望条件を伝えておくと、事前に準備してくれることが多いです。時間に余裕のある場合は、面談中に担当者が一時5分程度離席して、求人票を探してきてくれるエージェントもいます。
良い転職エージェントは、事前に準備した求人をもとに希望条件と照らし合わせて、マッチング率を高めていきますので、面談前に経歴書を送っておくと良いでしょう。
⑦今後の進め方・連絡方法の確認、エージェントサービスの説明
大手転職エージェントになると自社システムで求人票紹介や応募、応募辞退の回答ができるシステムを運用していますので、そちらの説明となります。
また、情報セキュリティがしっかりした会社では、個人情報の取扱いに関する同意書(要約すると、今回知り得た個人情報は転職支援以外には利用しません、という内容です)に署名する場合があります。
3-3.面談の時に希望すれば対応してくれるもの
①業界情報や技術動向、採用動向に関する情報の提供
未経験の業界や職種へ転職を希望する場合は、是非転職エージェントから業界情報を聞いておくと良いでしょう。特に求められる人材に関する情報は非常に有効です。
例えば「最近増えている企業の採用要件は、◯◯のエンジニアが不足している」「40代の人でも採用に積極的だ」などのトレンドを聞いておくと、自分の職務経歴書の自己PR欄に活かせる個所があるかもしれません。
②履歴書・職務経歴書の添削、キャリアの洗い出し
職務経歴書の内容に不安のある人、初めて職務経歴書を書く人には書類の添削をお願いすると良いでしょう。自分ひとりで書類を作成していると気づかなかった誤字脱字やレイアウトの不備など見つかることもあります。
専門性をPRする職種に関しては、キャリアのPRポイントの選定作業を一緒に考えてくれるため、非常に有効です。
③キャリアプランの相談・アドバイス
キャリアチェンジを考えている人や専門性を高めたいと考えている人など、中長期的にキャリアを考えたいという人に、エージェントにキャリア相談をすることもおすすめしています。
同様のキャリアを積んだ人の事例や、その時の転職市場や技術動向を勘案して将来性について教えてくれますので、相談できる転職エージェントが見つかったときには相談してみると良いでしょう。
④円満退職までのアドバイス
次の転職先の支援だけでなく、現職の退職をスムーズに行えるようサポートしています。就業中の人で、退職を切り出しにくいと考えていて、どのようにすればよいか、どのように話せばよいか不安に思っている人は聞いてみる良いでしょう。
⑤その他個別質問・アドバイス
その他個別の質問があれば面談の最後でも聞いておくと良いでしょう。聞きそびれて、疑問に思ったままや不安になったまま転職活動に進まず、細かなことも確認おくと良いでしょう。
4.面談後の流れ
4-1.希望条件をもとに求人の紹介
面談時に求人紹介されなかった場合は、面談後にメールでいくつか求人票を送ってきます。基本的にはメールでのやりとりになります。希望条件と合わないと感じた場合には、その旨を伝えておくと次回以降のマッチング率向上につながりますので回答してみるのも良いでしょう。
4-2.模擬面接
面接に不安のある人やコンサルなど特殊な面接をする職種を希望する場合は、模擬面接をしてもらうと良いでしょう。初回面談で実施する人もいますが、基本的に別の日に再設定して面談する場合は多いです。
5.よくある質問や疑問について
Q1.面談後の御礼メールは必要か?
基本的に必要ありません。エージェントから送られてきたメールに対して返信する程度で良いでしょう。
Q2.現職の名刺は渡すべき?
現職の名刺は渡す必要はありません。会社の人間として業務上支給されているものになるので、渡すべきではありません。渡してしまうとその分別つかないと評価されてしまい、イメージダウンにつながってしまうため、控えておくと良いでしょう。
Q3.面談が終わってもまた、再度面談してもらえるの?
基本的には、面談は一度だけの流れになっています。
しかしエージェントの中には、JAICのように未経験から正社員を希望する人に特化して転職支援を行っているエージェントは何時間もかけて面談してくれる転職エージェントもありますので、エージェントを使い分けるのもおすすめです。
Q4.面談が終わってみて、担当者と合わないと感じたが、担当者は変えてもらえる?
担当者変更は一般的に行われています。例えば、業界知識が浅いと感じたり、連絡に対する返信が異常に遅いなど、あるようであれば担当者依頼をかけるのも一つです。
その場合は、エージェントに「先日お伺いしたご担当者へ転職活動のご相談をさせていただきまして、有難うございました。更に詳しい情報について別の担当者のお話を伺いたく、ご紹介していただくことは可能でしょうか。」といった形で連絡すれば、別担当者から再度連絡をもらい面談してもらうことができます。
6.上級者がやっていること
6-1. 転職エージェントとの面談で「面接の練習」をする
転職エージェントとの面談で、実際に企業との面接を想定して質問に対する回答を準備して話をしておくと、退職理由など言いにくい内容をスムーズに話すための訓練になります。
和やかな面談形式で行われますが、転職エージェントからの質問は、実は企業の面接の質問と同じ、もしくは同様の目的で質問をしています。
業務内容の詳細やスキルなどの専門性の高い内容を除き、退職理由と転職理由、志望理由の整合性が取れているか?つじつまが合っているか?自己紹介を簡潔に話すことができるか?などの質問はエージェントも企業の面接も同じ目的で質問をします。
企業の面接と同じポイントで見られているということを押さえながら、エージェントと会話することで実際の企業の面接でもスムーズに話すことができるようになるでしょう。
6-2.複数の転職エージェントに登録していると伝える
複数のエージェントを活用していると伝えておけば、他のエージェントにとられてしまうという心理になります優先順位があがることがあります。複数活用しているときは隠さず伝えるようにしましょう。
6-3.丁寧な対応を心がけている
実は、よくありがちなのですが、転職エージェントにとって転職者である自分は、お客様だという立場を勘違いして、少し横柄に対応する人がいます。また、専門性の高い職種経験者になると、専門知識がエージェントに無いと判断して、下に見るような人がいます。
エージェントもまた、企業へ紹介する候補者を選ぶ立場であるため、丁寧な対応を心がけておくようにしましょう。
6-4.本命の転職エージェントの前に他の転職エージェントに登録する
転職エージェントにも特定の分野の業界や職種に強いエージェントがあります。そのエージェントとの話をスムーズに進めるために、経歴書の作成や添削、自己PRや実績の棚卸しなどを別のエージェントと一緒に終わらせておくことです。
こちらの項目にあるような転職活動初期に終わらせておくべきポイントを押さえておきましょう。
- 履歴書と職務経歴書の添削、ブラッシュアップ
- 希望職種、業界の選定
- 面接の練習
- 業界情情報に関する基礎知識の収集
そうすると、本命のエージェントからも準備万全の状態で求人紹介を受け、選考に移すことができるため有効です。
7.面談する時の注意事項(これをやるとエージェントが嫌がる!)
7-1.「とりあえず話だけを聞きに来た」と言わないこと
面談のときに転職時期に関する質問を受けます。
大半が、「良いところがあればすぐに」、「1か月以内」、「3か月以内」、「時期は決まっていないが転職を考えている」、「話だけ聞きに来た」といった具合です。その場合は、「良いところがあればすぐに」と回答しましょう。そうすることにより、転職エージェントの優先度が上がります。
求人を紹介してもらえないと、転職活動の第一歩にならないので、「良いところがあればすぐに」と回答することで、より早く情報を提供してもらえるようにしましょう。
7-2.経歴や実績に嘘をつかないこと
履歴書や職務経歴書の記載内容に、事実と違うことを書いてしまうことです。
意外にも、事実と違うと発覚するケースは多いです。例えば、転職エージェントに登録した時に、数年前の登録情報と違う?といったケースもよくあります。そうなると、虚偽の報告をする方だと、要注意人物と見なされ、求人の紹介を受けにくくなってしまいます。
7-3.退職理由などネガティブな発言をしないこと
退職理由・転職理由に関して必ずしも本音で話す必要はありません。例えば「社内の人間関係」、「仕事が面白くない」に関する内容です。そうすると、次の職場でもすぐに辞めてしまうのでは?とエージェントの評価につながってしまい、求人の紹介が受けにくくなります。
退職理由など事前に伝える内容を整理しておかなければ、面談の中でつじつまが合わないというということになると、エージェント担当者の不信感にもつながりますので、事前に整理しておきましょう。
8.まとめ
いかがでしたでしょうか。
転職エージェントとの面談も無料で行うことが可能です。経歴書の添削、業界情報の収集など有益なサービスがたくさんありますので、有効活用してみてください。
転職エージェントとの面談の内容で、転職エージェントから受けられるサービスに差が出てきますので、エージェントとの面談も次につなげるよう、活用していきましょう。