会社が倒産しそうだけれども、倒産の前?倒産の後?どどちらで転職する方が良いのかについてそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
転職は倒産前が良い!と考えている人もそれぞれの選択にはデメリットがありますので、それを踏まえて転職活動をすすめていくことが大切です。その逆も同じです。
これまで働き続けてきた会社が倒産してしまうと思うと、不安になりますよね。
・今の仕事を最後まで続けたいけれど、本当に大丈夫?
・失業保険がもらえるなら、働きたくないけれどそれでいいのか?
などと、実は転職すべきかどうすればいいのか悩んでいる人にこちらは内容はおすすめです。
1.倒産前に転職するメリット・デメリット
倒産前、すなわち営業活動終了前の段階で転職するメリット・デメリットについて紹介していきます。
メリット1.収入が途切れることなく、働くことができる
倒産する前に転職先を見つけることができる一番のメリットは、収入が途切れないことです。
倒産した後にも失業保険がもらえる、という話もありますが今の収入の6割程度しか支給されませんので、生活費を補てんする程度にしかなりません。
転職した後の収入 > 失業保険をもらう金額
倒産後のメリットで詳しく受給金額について紹介していきますが、転職した方が金銭面に余裕があります。
仕事が無い期間があるとお金だけでなく精神的に不安になりがちです。途切れることなく仕事を確保している安心感は何ものにも代えられないでしょう。
メリット2.有給を使って転職活動できる
倒産前であれば、有給を使って転職活動できますので、給料をもらいながら転職先を見つけることができます。倒産する直前なので、転職活動のために有給を使うと言って、止める人はいないでしょう。
倒産してからでは有給が使えないだけでなく、有給が買い取りされないので、使わないだけ損です。
メリット3.退職金がもらえる
倒産前であれば退職金を満額と言わなくとももらうことができます。
倒産直前になる少し前の段階では、人件費削減のために早期退職者を募る場合があります。その場合は退職金を上乗せしてくれることもあるので、倒産前に転職する(退職する)大きなメリットと言えます。
メリット4.給与・ボーナスカットのリスクが無くなる
倒産直前になると、ボーナスが支給されない、手当や福利厚生がなくなる場合があります。年収ダウンのリスクが無くなります。
年収がダウンしてしまうと転職活動にも影響します。
転職先の企業は、転職直前の年収を考慮して年収を決めることがあります。倒産によって年収が下がった状態で転職活動してしまうと、転職先の年収も低く設定されるリスクがありますが、給与カットされるまでであれば回避することができます。
メリット5.倒産する直前の混乱に巻き込まれなく済む
倒産直前、現場は混乱します。
- 売上を確保しようと、ノルマが異常に厳しくなる
- 取引先に売上回収を急がせる
- 退職が続出して、残ったメンバーの仕事が増える
- 関係者への説明、謝罪にまわる
など、とにかく忙しくなります。通常の業務とは比べ物にならないぐらい忙しくなりますが、その混乱から回避することができます。
更に有給も使って、転職先を見つけることができますので、焦らず転職活動に専念することができます。
デメリット1.退職理由が「自己都合」退職になる
経営状況が悪化したことにより退職に至っていますが履歴書の退職理由は「自己都合による退職」となります。
退職理由には倒産してから退職、会社から解雇されない限り「会社都合による退職」とは記載できません。
転職活動では退職理由は必ずチェックされます。「会社都合による退職」であれば特に問われませんが、「自己都合による退職」となると経緯と理由を説明しなければなりません。
そのため時間が経って数年後経歴を見返したときでも、倒産の危機にあったとしても「自己都合による退職」となりますので、やや面倒だと思う人もいるでしょう。
また、仮に転職先が決まっていないにも関わらず自己都合退職してしまうと、会社都合であれば7日後だったところが自己都合であれば、3か月後まで失業保険を貰えるまでの期間が延びます。
とはいえ、キャリア的にみてもあまり損しないので、大きな影響はありません。
デメリット2.管理職や経営側の人であれば、責任感がないのではと思われる
役員、部長など要職を務める人が混乱の最中退職すると「状況が悪くなって逃げ出した」と責任感が無い人だと評価されてしまうかもしれません。
もちろんそのような場合は倒産するから転職していますとは説明せずに、「スキルアップを目的に、、」などと違う理由で転職活動を始めたと説明しておいた方が良いです。
スタッフクラスであれば、特に問われることはないでしょう。
2.倒産後に転職するメリット・デメリット
メリット1.退職理由が「会社都合」による退職になる
履歴書の退職理由に「会社都合による退職」と書けることです。
採用担当者は退職理由を非常に気にしています。会社都合であれば問題なしと考えますので、評価に影響することはありません。
メリット2.最後まで仕事を果たしたという責任感を評価されることもある
倒産前の混乱や忙しさがあっても、最後まで仕事を全うしたという責任感を評価されることがあります。担当している業務によって違いますし、採用担当者の評価に依存しているので必ず評価されるとは限りません。
メリット3.失業保険を受給できる
会社都合による退職した場合、失業保険の受給日が早く、もらいやすいです。社会保険に加入していれば失業保険を貰えます。
【受給開始について】
受給者となる条件 | 受給開始時期 | |
自己都合退職者 | 離職日以前の2年間のうち、1年以上の被保険者期間があること | 7日間の待機期間
+3カ月の給与制限期間後 |
会社都合退職者 | 離職日以前の1年間のうち、半年以上の被保険者期間があること | 7日間の待機期間後 |
【受給期間について】
被保険者期間 |
|||
10年未満 | 10~20年未満 | 20年以上 | |
自己都合退職者 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合退職者 | 90~240日 | 180~270日 | 240~330日 |
※会社都合退職者の場合、年齢によって需給期間がことなります。
(詳細はこちら:厚生労働省職業安定局 HP)
【受給金額について】
失業保険でもらえる金額は過去6か月の平均賃金の50~80%となります。残業や諸手当は含まれますが、ボーナスやお祝い金などの一時的な給料は含まれません。
こちらは退職理由によって、金額は変わらず、年齢によって決まります。
デメリット1.職歴にブランクができる
倒産してから転職活動を始めると、職歴に空白期間ができますので転職では不利になります。
1~2か月程度であれば大きな影響はありませんが、平均的な転職期間が2~3か月と言われていますので3か月を超えると評価が下がる傾向にあります。
ブランクが空くと面接で空白期間について質問攻めにあうこともありますので、ブランク期間中何をしていたか、など質問対策が必要です。
デメリット2.給与・退職金が未払いになる可能性がある
倒産すると給料が未払いになることも珍しくありません。
倒産すると会社に現金が残っていませんので支払い能力がなく、取引先への支払いが不渡りになり、給料が支払えない状況になります。
その場合、あなたは「未払賃金立替払制度」を利用して、国が未払い賃金を払ってくれる制度を利用して給料を回収します。
独立行政法人労働者健康安全機構が運営しており、請求すれば立て替え払いを受けることができます。
ただし、未払い賃金分の最大8割、年齢ごとに上限が決まっており、一人当たり296万円と定められていますので、全て給料分を貰えるわけではありません。
そのため倒産すると給料は全てもらえないものだと思っておく方が心理的に良いです。
デメリット3.有給が使えない
倒産してしまうと有給を使えず、買い取りもされません。
特に有給の買い取りについては本来法律で禁じされています。会社側が福利厚生的な一環で、有給を使っていないのであれば相当額の給料をお支払いします。というものなので、会社によってこのような買い取り制度がある所とない所があります。
いずれにせよ倒産するときに有給の買い取りはありません。またデメリット2で紹介した「未払賃金立替制度」の対象にもなりませんので、実質有給が使えないことになります。
デメリット4.倒産前後の混乱・後片付けに巻き込まれる
倒産前の混乱や倒産後の後片付けをしなければなりません。特に倒産後の片づけや関係者への連絡などは、無給で自主的に対応している人が多いです。
倒産直前の混乱はとにかく忙しく、サービス残業になることも珍しくありません。倒産してから転職活動しようと考えても、スタートが遅れることもあるので、やや不利な状況と言えるでしょう。
3.一番やってはいけないことは失業保険をもらいながら考えること
会社が倒産したときに一番やってはいけないことは失業保険をもらいながら、今後のキャリアについて考え始めることです。理由はこちらです。
- 応募企業から就労意欲が低いのではと評価されて、転職活動が進みにくい
- 失業保険をもらうより、転職した方が給料が良いので年収が下がる
- 失業保険をもらえるだけもらおうと考えがちになるので、ブランク期間ができる
- 失業保険ももらえるほど休み過ぎると、倒産を経験したことの燃えつき症候群になる(何にもやる気が起きなくなる)
実質年収が下がるだけでなく、転職活動が進みにくくなるので倒産する前から転職活動を進めておく方が良いです。
倒産というインパクトのある出来事を経験してしまうと、次の仕事への意欲が薄れることもあるでしょう。貯金だけが減っていくような生活になりますので、ここから抜け出すのも苦労します。
失業保険とは転職先が見つからないときの、生活費や転職活動の費用の補てん程度にとどめておいて次のステップに進むことが良いです。
4.倒産しそうな会社で転職活動をすべきかどうか迷っているならば
会社が倒産しそうなときに、今の仕事を投げ出して転職活動すべきかどうか悩んでいるならば、転職市場の情報収集だけはやっておいてください。
「今の仕事の終わりが見えないので、先のことが考えられない」
「倒産は会社のせいだと思いたくないけど、思ってしまう」
「今辞めてしまっては迷惑がかかるかもしれない」
と思い悩むこともあると思いますし、気持ちを切り替えられないこともあると思います。
ですが今は仕事がいそがしくとも、会社に勤めていても倒産を境に一人になります。あなたの人生のことはあなたが考えなければいけなくなります。
一人になってから、どうしようかと考えていては遅いです。キャリアにブランクができている状態で、一から転職活動を進めてもすぐには転職先を見つけられません。
倒産しそうだと悩んでいる状況で情報収集と転職の準備におすすめしている方法は、転職エージェントに登録してサポートをもらうことです。
転職エージェントに登録すると、キャリアアドバイザーと呼ばれる担当者があなたの転職活動のサポートをしてくれます。
サポートの一例
- 転職市場のトレンドを教えてくれる
- 希望条件に合った求人のリサーチ、紹介してくれる
- 履歴書・職務経歴書の作り方をアドバイスしてくれる
- 応募・面接日時・入社日を調整してくれる
- 不安に思っていること、転職活動の進め方など相談に乗ってくれる
倒産しそうな状況でこれからどうすればいいかと悩んでいるあなたの気持ちを理解してくれて、必要なところをサポートしてくれます。
良い転職エージェントであれば、同じような境遇の人の転職支援もしていますので具体的なアドバイスをしてくれて参考になります。
倒産しそうだと悩んでいてどうすればいいか悩んでいる人に特におすすめです。具体的に進めていく方法はこちらです。
【転職エージェントの活用方法】
①サポートに手厚い転職エージェントに登録する
②履歴書と職務経歴書の作り方をサポートしてくもらう
③紹介された求人の中から、興味ある会社をエージェントに伝える
④転職エージェント経由で「推薦状付き」で提案してもらう
この方法で進めていけば、倒産しそうな不安定な状況でも不安が減って、転職活動の負担が減りますので転職活動をしっかりと前に進めることができます。
退職手続きなど進めながら転職活動の時間も確保することが難しいので、求人リサーチなど時間がかかるものは任せてしまった方が効率的です。
転職先を見つけていれば、精神的にも安定しますので早めに動いておくと良いです。
サポートの手厚い転職エージェント
- パソナキャリア|あなたの転職に寄り添う転職エージェント。初めての転職、女性の転職に強いエージェント。あなたの経歴と似ている人の転職事例を教えてくれて、求人も多数紹介してくれます。
- doda|転職相談に丁寧に対応してくれる転職エージェント。履歴書や職務経歴書の添削、キャリア相談に丁寧に乗ってくれる。登録面談の評判良くおすすめです。
5.転職理由は「倒産」と伝えれば誰も文句は言わない
転職理由が倒産しそうだから、と伝えても誰も疑問も批判もありません。
日本国内では、年間7,000件以上倒産しているので、大企業も含めて倒産することは珍しいことではありません。
倒産する前であっても、倒産した後であっても、会社の経営状況が悪くなったことをきっかけに転職活動をしていることを伝えて大丈夫です。
そのようなときに「どう思っているのか」「どう考えているのか」かが転職活動においては大事です。
間違っても今の会社の悪口や愚痴を言ってはいけません。
自分なりに今の状況を客観視できているか、次のキャリアについて前向きに考えられているかどうかです。今の仕事を続けるにしても、転職活動をするにしても、状況に惑わされずに自分なりの考えや方向性を持っておくことが大切です。
6.まとめ
これまで勤めていた会社が突然倒産してしまうこと、仕事がなくなってしまうこと、収入がなくなってしまうことの不安はあなただけで背負い込んではいけません。
これからのキャリアについてどうすべきか、についてはこちらでまとめたメリット・デメリットを参考にしてみてください。
メリット | デメリット | |
倒産前 の転職 |
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倒産後 の転職 |
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こちらの記事が倒産にさいして転職すべきかどうか悩む、あなたのお役に立てれば幸いです。