「本音の退職理由はどこまで話していいの?」
「転職理由で面接官はどこを評価しているの?」
面接の転職理由の説明の仕方で悩んでいませんか?
面接でほぼ100%聞かれる「転職理由・退職理由」の回答次第で、不採用に直結する重要な質問です。準備せず面接で説明してしまうと、「正直に話しすぎた」「面接官の表情が良くなかった」などと失敗してしまうことがあります。
こちらのページでは、現役の人事責任者として面接を毎年数千人と担当している経験から、転職理由別に回答する時に気を付けるポイントと回答例を解説していきます。
こちらを読めば、面接の転職理由の説明の仕方に迷いなく回答できるようになり、選考突破に向けて一歩近づくことでしょう。
1.面接官が転職理由・退職理由で知りたいこと・確認していること
面接でほぼ全ての面接官が質問する内の一つに「転職理由、退職理由」が挙げられます。転職理由の内容だけで、不採用と判断することもあり得ます。
合否を決めるほど重要な質問となる「転職理由、退職理由」について、6つの視点からチェックしています。これらのポイントを踏まえて転職理由について回答しておけば問題ありません。
次の仕事でも同じ理由で退職しないか?
入社後に退職を考えるきっかけになった時と同じような状況になった場合、転職後すぐに辞めてしまわないかどうかを確認しています。
「そのような状態はうちの会社でもあるな」と思われたら、すぐに退職しそうな人と見られてしまいます。
また、転職理由が明確になっておらず、漠然とした不満から退職を考えているような場合もマイナスの評価につながります。次の仕事で上手くいかなかったり、不満に思うことがあったときに辞めてしまうと思われることもあります。
職場の人間関係に問題はなかったか?
上司、部下、同僚、取引先など上手くソリが合わず、人間関係が原因で退職する人は多いです。
人間関係が原因であったとしても、関係構築するように努めていたか、改善しようと心がけていたかどうかを確認しています。
人間関係について他責の念があるような場合は、仕事への取り組み姿勢に問題があるのではと評価されています。
何故今の会社ではなく、転職を考えているのか?
やりたいことや叶えたいことが、現在の会社に残ることで達成できないのかどうかを確認しています。中には「そのような希望であれば、転職しなくていいのでは?現在の職場に不満があるから転職するのでは?」と思われるような転職理由の人もいます。
仕事を選ぶうえで重要視している条件は何か?
今回の転職でかなえたいことを確認しています。年収アップ、キャリアチェンジ、資格取得など人それぞれですが、次の仕事に求めるものが何かを確認しています。
転職者が転職を通じて、かなえたいことが自社の職場で達成できるのかどうかをチェックしています。
志望動機との一貫性はあるか?
面接官が最も確認しているポイントです。
転職を通じて叶えたいことは、応募した職場に転職することで達成できるものかどうか志望動機との一貫性を確認しています。
仕事への取組み方や考え方に甘えはないか?
現在の職場に対する不満や不安が、実は転職者の働き方に対する考え方や姿勢に問題がある場合があります。
そのような場合は、就業意識やモラルが低いなどの評価をされてしまいます。
2.面接で転職理由を説明する時のポイント
前向きな考え方と姿勢を説明する
転職理由は前向きな姿勢を示すことが何よりも重要です。
前向きや姿勢を示すことが志望意欲の高さのPRに繋がります。面接官は、次の新たな仕事に就いた時も前向きな姿勢で取り組んでくれそうだという期待感を持ちます。
受け身姿勢や会社の悪口は話さない
現職(前職)の不満や悪口を話す転職者はほぼ採用されません。たとえ、事実であったとしても、会社や周囲を悪く話す人は信用できないという評価をされます。
入社した後も、会社や周囲の批判ばかりして、雰囲気を悪くするのではという懸念があるため、マイナスの評価となります。
転職理由もはっきり話す
転職理由について曖昧な表現をしたり、ボソボソと話すと「自信がなく、何か隠しごとをしているのでは?」と評価されてしまいます。
転職理由含め、どのような話題であってもしっかり、ハキハキと話すことができる人は、周囲とも関係構築できるかもしれないと思ってもらいやすくなります。
3.転職理由を説明するときの4つのSTEP
転職理由には、退職理由と志望理由の二つを考える必要があります。
退職理由とは、「何故現職から転職するのか?何に不満があるのか?」というものです。
志望理由とは、「次の職場に求めているものは何か?」というものです。
- STEP.1退職理由を明確にする
- STEP.2不満がある場合は、前向きな表現に置き換える
- STEP.3転職でかなえたいことを決める(志望理由)
- STEP.4志望動機と一貫性を持たせておく
STEP.1退職理由を明確にする
退職理由には、「現在、不満に思っていること」「入社した目的や動機が達成できなくなったこと」「不安に思っていること」など退職しようと考える要因を明確にします。
STEP.2不満がある場合は、前向きな表現に置き換える
現状に不満を持っている場合は、前向きな表現に置きかえます。同じ理由であっても前向きな表現に変えるだけで、面接官の印象は大きく違います。
【NG例】
今働いている会社は、年功序列で勤続年数の長い仕事のできない上司がいて、非常に保守的です。
【OK例】
第二新卒の営業職として現在の会社に入社しました。取引先の課題からヒントを得て、新たな営業手法を社内で提案しておりましたが、保守的な風土もあって導入を検討されませんでした。取引先の課題に応じてサービスを提案してく仕事に挑戦したいと思い、転職を考え始めました。
STEP.3転職でかなえたいことを決める(転職理由)
今回の転職でかなえたいことを言語化します。「会社」「仕事」「人」「家庭」などそれぞれのテーマにおいて、理想とする状態に近づくために、次の仕事に転職するという結論に至るまでの自己分析を行います。
こちらで紹介する自己分析シートをもとにキャリアの振り返りを行うことで、転職における軸を見つける手助けとなりますので参考にしてみてください。
・転職に軸を作る|自己分析4Step【シート付・完全解説付き】
STEP.4志望動機と一貫性を持たせておく
応募する企業への志望動機との一貫性を必ず確認しておきましょう。矛盾点があったり、関連性が見られないような場合は、面接官に志望動機を理解してもらうことが難しくなります。
転職理由である〇〇を叶えたいという目的を次の職場に転職することで、達成されるということが伝わることが、面接官の納得感を得ることに繋がります。
4.転職理由のTOP10 回答例
給料や評価制度に不満がある
年収をアップしたい、評価制度に不満を持って退職を考える人が最も多いです。家庭環境の変化や結婚などのライフステージの変化、周囲の人の昇給昇格などきっかけは様々です。
給与に不満のあるとだけ伝えてしまうと、「転職先を給与だけで決めているのでは?」と見られる可能性があります。次の仕事では成果を上げつつ、評価を受けていきたいという前向きな姿勢を示すことが重要です。
✔ 回答するポイント
- 現在の仕事を全うしていることが大前提
- 今の仕事に給与が見合わないという表現をしない
【回答例】
現在勤めている会社では一貫して営業職として従事しております。現在の仕事内容にやりがいを感じておりますが、結婚し世帯を持つようになってから年収を意識し始め、給与アップに向けて仕事にまい進しておりましたが、勤続年数に応じた序列の評価制度が根強く昇進の機会がありませんでした。その中で御社の〇〇職は、仕事の成果に評価が連動し、社員を評価する仕組みや風土があると伺い、興味を持ちました。○○職であれば貴社の事業拡大に貢献できるのではと思い応募いたしました。
残業時間が多く、体力的にきつい
残業時間を理由に転職する人は、IT、製造、介護、サービスなど業界や職種によって多くいます。そのような場合は、必ず「どれぐらい残業していたか?」を説明しましょう。
残業がキツイと感じる目安について、説明を入れておくと面接官も「それは大変な職場でしたね」と理解を示してくれます。
✔ 回答するポイント
- 残業時間の目安を説明する
- 残業時間を減らす姿勢や努力を伝える
【回答例】
「配属されるプロジェクトは毎日残業が4時間程度あったため、帰宅が夜の12時前後になることが多く、月に80時間以上はやっており体力的にきつくなってきました。会社の方も採用が上手くいっておらず増員が難しく、現場では仕事の効率化をメンバーで協力しておりましたが、中々改善できず、資格取得の勉強も思うように進まず、環境を変えたいと考え転職を考えました。御社の採用ページには社員の皆さまが定期的に勉強家を開いていたり、意識の高い人が集まっている印象を受け、興味を持ちました。これまでの〇〇のプロジェクトでの経験を活かせるのではと思い、応募いたしました。
人間関係への不満
人間関係に不満があって転職する人は多いです。しかし人間関係に関する悩みはどこの職場に行ってもあり得ることです。
また人間関係が悪い相手の説明をしても、面接官には伝わりません。むしろあなたに非がある可能性は無いのか?と思われるリスクもあります。
人間関係を理由に転職していることは言わないようにしましょう。
人間関係を理由にするより、仕事の内容や今後のキャリアを考えて環境を変えるために転職を考えているという説明にしておく方が無難です。
【回答例】
人間関係を理由に転職理由を説明しないこと
会社の将来性に不安がある
会社の経営不振の場合や、合併や統合、売却などの経営状況の変化から転職を考える人も多いです。特に同僚や学生時代の知り合いの転職話を聞いて、真剣に考える人もいます。
会社の状況が良くないときでも、自分自身がどのような貢献をしているか、努力をしているかという視点を持っておきましょう。
✔ 回答するポイント
- 会社の愚痴や不安を口にしない
- 前向きな姿勢で転職を考えていることを伝える
【回答例】
現在勤めている会社には、入社して10年になりますが数年前に海外事業に進出しましたが、上手く収益を上げることができず、事業撤退を進めています。私の所属する〇〇事業部は清算することが計画されており、人員整理等の話を聞いております。今後の先行きが不透明になりつつあるため、○○の経験をもっと活かして働きたいと思っているため、御社の〇〇の仕事で貢献できるのではと思い応募いたしました。
やりたい仕事ができず、仕事に興味がない
やりたい仕事に就きたいと考えて転職を考える人の場合、現在働いている会社に入社したときの志望動機とやりたいことが一貫していることが重要です。
与えられた仕事を全力で取り組み、その上でのステップアップや希望に対して、現在の会社の制度上の問題など現在の環境では難しいことを説明しておきましょう。
✔ 回答するポイント
- 自分の職務を果たしていることが前提条件
- 自分本位な説明の仕方をしない
【回答例】
前職の◯◯時代に、父親が脳梗塞で倒れてしまい入院手術をしましたが、日常生活のサポートが必要となりました。兄弟で手分けしながら介護をしておりましたが、中々思うようにいかず、私が退職して介護に専念することにしました。現在では施設に入所することができ、何かあったときに兄弟が対応してくれるようになりましたので、フルタイムの仕事に就き、御社の業務に貢献できると考えております。
結婚、出産、育児
ライフステージの変化で、退職することは良くあるケースです。面接では、家庭事情について質問を受けることがあります。パーソナルな情報ですが、面接官の理解を得るためにも説明しておきましょう。
✔ 回答するポイント
- 家事、育児について業務に支障がないことを説明する
- 復職することに家族の理解があること
- 出産予定などを聞かれても、長期的に働きたいと伝える
【回答例】
前職の〇〇のときに結婚し、出産を機に退職いたしました。子供も小学校に入り、送り迎えなどが必要無くなり、何かあった場合は実家の両親もサポートしてくれております。育児が落ち着き、時間に余裕ができたため、フルタイムの仕事に就きたいと考え転職活動をしております。前職では経理事務の経験もあり、活かせるのではと思い応募いたしました。
介護
両親など家族の介護を理由で退職した時は、事情について具体に説明することが重要です。そのうえで、次の就職に対して支障をきたさないことを、説明できれば問題ありません。
✔ 回答するポイント
- 本人の意思にかかわらず、やむを得ず退職した
- 介護に関する愚痴や苦労などは話さない
- 就業に支障がない状態であることを説明する
【回答例】
前職の〇〇時代に父親が倒れ、入院手術を行いました。退院後は私生活のサポートが必要であったため実家近くに住む兄弟と手分けをしながらサポートしていましたが、介護に専念するため退職いたしました。今年に入り施設に入所することができたので、仕事に復職しようと考えております。何かあった場合は兄弟が対応してくれるので、業務に支障はございません。次の仕事においては、フルタイムで働けるよう活発に動きながらも貴社の〇〇の事業に貢献していきたいと考えております。
転勤、異動に対応できない
家庭の事情などを理由に会社からの異動・転勤命令に対応できず、退職しなければならないケースがあります。
転勤ができないという理由で退職するだけでは、自分だけの都合で退職し応募したというように意欲が低いと評価されるかもしれません。転勤や異動の辞令をきっかけにキャリアを考えたなど、前向きな姿勢を示すようにしましょう。
✔ 回答するポイント
- 転勤だけを理由に退職したと説明しない
- 家庭の事情であれば具体的に話す
【回答例】
現在勤めている〇〇には、関東、東北エリアの営業所にて法事担当しておりました。四国エリアの転勤が決まっておりましたが、今回のキャリアの節目にキャリアを見つめ直し、営業職としてのキャリアだけでなく、他の業界でのキャリアを考えました。その中で御社の〇〇カスタマーサービスのアフターサービスに関する業務に対し、顧客との折衝経験を通じて培った経験が活かせるのではと考え、応募いたしました。
病気、ケガ
病気や持病、ケガなどが原因で前職を退職した場合は、病状や退職する時の状況について説明しておきましょう。病気や持病を隠して転職した場合、入社後に病気が発覚し、業務に支障が出た場合、選考採用で知り得なかったとされ懲戒事由に該当し解雇される可能性がありますので、リスクが高いです。
病気などを理由に退職したことを理解してくれる会社に就職することが、双方にとって良いことですので、説明しておきましょう。
✔ 回答するポイント
- 病状について説明する
- 業務に支障が無いよう努める姿勢を示す
- 通院など必要な場合は選考段階から申告しておく
【回答例】
前職の〇〇時代に体調を崩し、勤怠が悪くなったこともあり職場に迷惑をかけないようにと思い、退職いたしました。その後通院し病状が分かったため治療に専念いたしました。現在では服用している薬もなく、かかりつけの医師にも問題ないと言われており就職しようかと考え、転職活動を開始しております。前職の○○の経験を活かしながらも貴社の〇〇職に貢献したいと考え応募いたしました。
パワハラ、セクハラ
パワハラやセクハラなどハラスメントを受けたと感じて、職場の人間関係から環境を変えたいと感じて転職する人は意外に多いです。
しかし、面接でこのようなハラスメントを受けたことを説明して理解を得ることは難しいので控えておきましょう。
相手の人物像の説明や経緯、出来事の説明を受けても、面接官としては「あなたに非がなかったかどうか」という疑問が消えることがありませんので、理解されにくいです。
✔ 回答するポイント
- パワハラ、セクハラを理由に退職したことは説明しない
【回答例】
人間関係の転職理由と同様にセクハラ、パワハラを理由に転職することを説明しない
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
面接ではほぼ必ず転職理由を質問されます。求人に応募した志望動機との一貫性はあるか?現在の職場にどのように考えているか?などの理由で質問されます。
転職理由の回答次第で、不採用になることもある重要な質問です。ポイントは前きな姿勢で退職や転職を考えていることが重要です。
転職理由について、どのように説明すればいいのか不安に思っている人は、転職エージェントに相談しておくことをおすすめしています。
転職に関するプロとして、企業選考の面接対策や経歴書の志望動機の添削などをしてくれるためおすすめです。
転職エージェントを活用するメリットは以下の通りです。
- 過去に質問された事例集を教えてくれる
- 採用される人・不採用にされる人の傾向を教えてくれる
- 応募書類の添削をしてくれる
- 無料で利用できる
- 転職エージェントとの面談を通じて、面接の練習ができる。不安な場合は模擬面接もしてくれる
非公開求人を紹介してくれるだけでなく、面接の前の段階で役立つ情報を教えてくれます。その他にも面接に不安のある人は模擬面接を行ってくれますので、面接対策を行いたい人は転職エージェントを活用しておきましょう。
転職エージェントは転職活動に必要な経歴書の添削や面接日時の調整など全て代行してくれるため、転職活動で利用する人は多いです。
中でも、『パソナキャリア』は、初めての転職に強く、面接対策を丁寧に対応してくれます。面談に訪問したときに全員に配布される『転職必勝ガイド』に非常に有益な内容が書いてあります。職務経歴書の書き方や、面接質問集など転職活動の全体を理解するうえで非常に評判の良いものをもらえます。
その他にも面接対策を行う上でのポイントを細かく解説していますので、参考にしてみてください。
・面接対策に悩む方へ|おすすめの転職エージェント3社と活用ポイント
こちらの記事が、皆さまの転職活動のお役に立てれば幸いです。