「在籍確認の依頼が来ているがどう対応すればいいか困っている」
「在籍確認する目的って何?」
転職活動中に在籍確認の依頼が来ていて、対応に困っていませんか?
在籍確認をされるということは、採用される可能性が出てきていますが、いきなり現職の上司や同僚に連絡される困る、と身構えてしまうことがあると思います。
相手企業に下手なことを聞かれて内定が無くなってしまうのでは?と思うかもしれませんが、在籍確認に関してしっかり対応していけば不採用につながることはほとんどありません。
しかしながら、対応を間違えてしまうと現職の上司に転職活動をしていることをバレてしまう、などのリスクがあるため、丁寧に対応していく必要があります。
こちらのページでは現役の転職エージェントとして業務経験をもとに、在籍確認における対処法について、「企業側の在籍確認の目的」、「在籍確認で聞かれる内容」、「対処法」など詳しく解説していきます。
1.そもそも在籍確認(リファレンスチェック)とは?
在籍確認とは大きく分けて「身元調査」、「経歴調査」、「他薦」の3つの目的で行われるケースが多いです。
一般的に多く使われる在籍確認とは、「身元調査」の目的で、主にクレジットカードを新たに作成した場合や住宅ローンを組んだ時、賃貸契約をした場合などに職業が会社員であることを事実確認するために、カード会社が申込みの確認のために企業の総務部などに電話連絡で確認することが多いです。
転職活動の場合においては、「経歴調査」、「他薦」の目的で、外資系など一部の業界で在籍確認(リファレンスチェック)を行うことがあります。
1-1.企業担当者が採用活動で在籍確認(リファレンスチェック)をする理由
企業が在籍確認をする理由は、書類選考や面接の選考で得た情報に虚偽が無いかどうかを確認するためです。
求人企業が採用活動中に企業が得られる情報は、転職サイトの登録情報や転職エージェントから得る情報、本人からの提出書類となりますが、真偽を確かめる手段があまりありません。
転職者の自己申告による経歴情報をもとに信じて採用を決定しなければなりません。入社後に面接で言っていたことと違う、ほぼ経験が無かったなどと事後で発覚した場合は懲戒処分、懲戒解雇とすることができますが、時間と労力が非常にかかります。
そのため事前に虚偽が無いかどうか、選考で得た情報や評価の信頼性を確認するために在籍確認(リファレンスチェック)を行います。
1-2.あなたが在籍確認(リファレンスチェック)をされることのリスク
あなたが現在在籍している会社に転職活動をしていることを伝えていなかった場合、応募先企業から在籍確認の連絡が入り、転職活動をしていることが知られてしまうことです。
そうすると、現在の仕事に支障がでる、退職手続きが気まずくなるなどの弊害がでてしまいます。
そのため在籍確認を行う段取りや順序を間違えてしまうと、あなたの周囲との関係が悪くなるリスクがあります。
在籍確認の連絡を対応してもらう人に対し、情報が漏れないように徹底してもらうようお願いしておく必要があります。
2.在籍確認(リファレンスチェック)の法的な話
2-1.個人情報保護法の下にある
2005年4月施行の個人情報保護法で「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と定められています。
そのため、企業が在籍確認を行う場合は、転職者本人の同意を得てから行わなければなりせん。以前であれば在籍している企業の人事部に直接連絡して確認されるケースがありましたが、現在では法的制限が強まっており、会社に直接連絡することはほぼありません。
それは個人情報の取扱いにおける同意は「応募先の企業と本人」が行っているものであって、「応募先の企業と現職(前職)会社」に含まれるものにはならないため、企業間の在籍確認を行うことは、法に抵触します。
そのため現在では、上司や同僚など個人に連絡するようになってきています。
2-2.企業に在籍しているかどうかは入社後社会保険手続きをしているときに分かる
「在籍をしているかどうか」という身元調査の目的であれば、入社後に加入する社会保険手続きの時に、履歴書や職務経歴書の情報に虚偽の情報があるかどうか分かります。
例えば、会社の在籍期間を実際の就業期間より長く履歴書に記載したとします。入社後の社会保険加入手続きのときに提出する、年金手帳に記載される厚生年金加入期間と履歴書に記載される前職の在籍期間に違いがあった場合、すぐに虚偽の情報が書かれている履歴書だとわかってしまいます。
2-3.身元調査であれば通常は調査会社に依頼するもの
通常採用を決定する前に本人の素性調査を行う組織は多数あります。防衛省の採用試験などは親族の職業まで提出を求められます。
身元調査などは企業が行う場合は、信用調査会社に依頼することが一般的です。反社会的勢力との繋がり、前科、借金など会社法による取締役の諸条件をクリアしているかなどを調査するケースが多いです。
しかし、一般採用で数万近いコストをかけてこれらの調査を行うことはほとんどありません。経歴詐称のリスクを下げるためにこれらの手続きを転職エージェントに依頼する企業が一部あります。
3.転職エージェントから在籍確認(リファレンスチェック)を依頼された場合の対処法
転職エージェントが単独で在籍確認を行うケースはほとんどありません。転職エージェントが在籍確認を行っている場合は、企業から依頼を受けて在籍確認を行う場合や誰かの推薦が欲しいときに在籍確認を含めて行う場合が多いです。
転職エージェントから在籍確認を受ける場合は、概ね採用方向に検討している場合が多く、良好な進捗と捉えて対応していくと良いでしょう。この在籍確認(リファレンスチェック)の結果で不採用になることはほとんどありません。
3-1.在籍確認(リファレンスチェック)が多い業種・職種
在籍確認(リファレンスチェック)が選考途中に実施されるケースが多いのは以下のような分野です。
- 外資系
- 金融業界
- ハイクラスのポジション
外資系企業においては、採用手法が本国のやり方にそって実施していることもあり、職種問わず多くみられます。ポジションが上がっていくにつれて、在籍確認(リファレンスチェック)が求められることが多くなります。
一部採用企業側の思惑として、在籍確認(リファレンスチェック)の対応を依頼する人物も一部評価しています。人間関係、人脈、人望など人物面を評価することもあります。
その他では第三者から推薦をもらうことで、選考辞退を抑制するという目的もあります。推薦してもらった手前、辞退しにくいという事情も含めて合理性のあるプロセスとして導入している企業はあります。
3-2.転職エージェントから依頼される流れについて
在籍確認(リファレンスチェック)の依頼の連絡
企業との選考が進み最終段階に差し掛かると、転職エージェントから以下のような在籍確認依頼の連絡がきます。
現職の上司もしくは同僚、もしくは既に退職している元上司、元同僚などあなたの仕事ぶりが分かっている人や評価している人を選ぶように連絡を受けます。
対象者に関しては同僚もしくは上司に限定しており、部下がいる人の場合は「話を盛って言わせる」可能性があるため対象外としています。その他、友人なども仕事に関する情報を持っていないので対象外です。
在籍確認(リファレンスチェック)で聞かれる内容
事前に聞かれる内容を転職者(候補者)に教えることはあまりありません。概ね聞かれる内容は以下のような項目です。
- 候補者との関係
- 候補者仕事をしていた期間
- 候補者の仕事内容(所属部署、業務内容、実績など)
- 候補者の人柄、印象、評価について、その理由
- 候補者と一緒に働いてみてどう感じているか、その理由
- 候補者のリーダーシップ、仕事のスタイル、影響力
- 候補者の勤怠について(欠勤、残業など)
在籍確認の目的の大半は経歴に嘘がないかどうかを確認するためです。在籍期間など細かな質問はせず、所属部署ややってきたこと、社内での評価を確認していきます。人間性や仕事の能力など候補者によって質問項目は様々です。
対応してくれる人に直接質問はしませんが、転職理由や社内でのポジションについて転職者本人の自己認識と周囲の認識にズレが無いかどうかを確認します。
在籍確認(リファレンスチェック)の手順について
連絡方法は電話とメールの二通りが多いです。外資系のハイクラスのポジションの場合など、直接オフィス近くのカフェまで出向くなど徹底しているところもあります。
段取りについては、転職エージェントがリファレンスチェックを対応してくれる人に直接連絡を取ります。
電話の場合は簡単に経緯を説明しながら、答えられる範囲で回答していきます。メールの場合は決められた質問項目に沿って回答してもらうように依頼されます。
リファレンスチェックは、時間を要する場合が多いため、対応してもらう際に事前にお願いしておきましょう。
3-3.転職エージェントへのベストな対処法
在籍中の人で、転職の意思を伝えていないのであれば「内定を条件に在籍確認を了承する、もしくは内定後に実施してもらう」ようにすればリスクを最小限に抑えることができます。
こちらの選考フローについては転職エージェントと相談しながら決めていきましょう。
内定前でしかできないということであれば、リスクを伴いますので既に退職している元上司、元同僚に連絡を取って対応してもらうようにしましょう。
3-4.在籍確認(リファレンスチェック)をしてもらう人の選び方
在籍確認を行ってもらう人の選び方も非常に重要です。こちらの対応で最も望ましいのは在籍確認をしたもらい、更に応募先の企業の評価を上げてくれる人です。
望ましい人の例
- あなたの業務内容、経験、人柄を良く知っている人
- よく一緒に仕事をしていた人
- あなたの転職を好意的にとらえてくれる人
あまり仕事で接点の無い人を選んでしまうと在籍確認(リファレンスチェック)の意味をなさないため、場合によっては色々な人から情報を集めるために二人以上行う事もあります。
一般的には上司、元上司に依頼することが多いですが、同僚などでも全く問題ありません。しっかりと対応してくれる人であれば第三者の情報として信頼性が高くなります。
3-5.在籍確認(リファレンス)を行う前にすべきこと
在籍確認(リファレンスチェック)を失敗しないために、対応してくれる人に事前に情報共有しておくことをおすすめしています。
対応してくれる人に経緯を説明しておく
事前に転職エージェントの営業担当やリクルーターから連絡することを伝えるだけでなく、応募企業先や選考の進捗、在籍確認の趣旨をある程度教えておくと良いでしょう。
そうすることで、在籍確認(リファレンスチェック)を対応してくれる人も、事前情報があれば柔軟に対応してくれます。
キャリアや業務内容などを伝えて、記憶してもらう
またあなたの仕事の内容をある程度説明しておき、思い出してもらうようにしましょう。意外に他の人の業務内容や実績など記憶が曖昧な部分が多いため、一度おさらいしておくと良いでしょう。
4.その他経歴調査する方法
インターネット上の情報やあなたの知らない場所でもあなたの在籍確認をされていることがあります。
4-1.SNS
Facebookをビジネス用として利用する人は少ないですが、登録情報に書かれている経歴から確認することができます。
最終学歴はもちろん過去の在籍していた会社を登録していた場合はそのような情報もチェックしています。
ビジネス用のSNSとして転職活動で利用する人が増えてきています。こちらでオープンな形で経歴を書くケースが多いですが、転職活動で提出する経歴書と全く同じ記載する人は少ないと思います。こちらの情報のずれがあった場合など細かく確認されるケースがあります。
4-2.Googleの自然検索
Googleなどの検索エンジンで「応募者の名前」で検索して、情報が出てくる人は多くありませんが、企業の人事担当者、採用担当者は意外にも検索しています。
SNSアプリのコメント欄や在籍していた学校の情報サイトなど、自分自身が思ってもいない情報が表示されることがあります。
4-3.在籍している(していた)会社の同僚などから情報収集
選考中やインターネットで調べた情報から過去の在籍していた同僚や上司が応募企業に在籍していることは少なくありません。
知人と思われる人に「この人知ってる?」というように採用担当者からヒアリングをされる場合があります。
5.まとめ
在籍確認(リファレンスチェック)を行っている企業は少ないですが、ポジションや業界によって実施する採用企業があります。しかしながら採用の方針や都合上必要な場合があり、合否に関わるため丁寧に対応していきましょう。
在籍確認(リファレンスチェック)を行う場合は、あなたの経歴を疑っている以上に採用したいと考えている意思の方が強いので、良い展開と言って良いでしょう。
しかしながら事前の準備を行っていなければ上手くいきませんので、流れについては担当の転職エージェントに相談しながら進めていきましょう。
こちらの記事が皆様の転職活動のお役に立てれば幸いです。