派遣会社のマージン率ってどれぐらい?相場・内訳・業界動向を徹底解説!

・派遣会社のマージン率ってどうやって計算しているの?

・派遣会社のマージンってピンハネしてないの?

・派遣会社のマージン率ってどれぐらい?

などと派遣会社のマージン率についてお調べですね。この派遣会社はマージン取りすぎかも?などと、マージン率だけを見てしまうと誤解してしまって、派遣会社選びを間違えてしまうかもしれません。

こちらのページでは派遣業界の経験から、マージン率の基礎知識、業界のマージン率の相場、業界の裏事情まで紹介していきます。

 

1.マージン率とは?

マージン率とは「派遣先が派遣会社に支払う派遣料金」と「派遣会社が派遣スタッフへ支払う賃金の差額の割合」を指します。

2012年の派遣法改正により、派遣会社がどれだけ派遣スタッフに給料として支払っているかを、マージン率として労働基準監督署へ提出するだけでなく雇用する派遣スタッフに開示するよう義務化されました。

背景として、1986年に派遣法が施行されて以降、派遣会社が必要以上に派遣スタッフから搾取している、在りもしない福利厚生費として不当に徴収していると問題になり、派遣会社の運営費の妥当性が分かるよう公開するになりました。

開示方法は二通りあり、ホームページに公開する方法と派遣スタッフに紙面で公開する方法です。

 

2.マージン率の相場とは?

(出所:一般社団法人日本人材派遣協会 派遣料金の内訳

一般社団法人日本人材派遣協会によると、派遣先からもらう派遣料金のうち、派遣会社のマージン率は30%で約7割が派遣スタッフに給料として支払われています。マージン率は会社や職種によって違います。

30%全てが利益になるわけではなく、フルタイムのスタッフであれば社会保険料や有休手当とし派遣スタッフに支払います。その他派遣会社のバックオフィスの人件費を除けば、残る利益は1.2%程度だとされています。

派遣業界の経験からすると、こちらの調査結果では有給手当として4.2%を経費として見込んでいますが、100%有給を消化するとは限りませんので、もう少し利益率は高い会社が多いと思います。

 

3.大手派遣会社のマージン率を比較

派遣会社 一日の平均給料(マージン率)
テンプスタッフ 12,880円(29.1%)
スタッフサービス 11,828円(31.4%)
パソナ 15,272円(29.7%)
アデコ 12,416円(30.9%)
リクルートスタッフィング 13,616円(28.8%)
マンパワー 14,028円(28.3%)
ランスタッド 11,184円(27.1%)
マイナビスタッフ 12,560円(26.3%)

※マージン率のリサーチ方法:各社派遣労働者事業に係る情報を発表しているデータから引用しています。
エリア:複数の拠点がある場合、新宿エリアの拠点を参照
給料:派遣労働者賃金平均額(1 日 8 時間計算)
マージン率とは:派遣料金から派遣労働者に支払った給料を除いた金額とその割合。マージン率には、派遣労働者の社会保険料、有給休暇費用、福利厚生費や教育訓練費なども含まれています。

こちらの表から分かる通り派遣会社ごとにマージン率は違いますし、マージン率が低ければ給料が高いという訳ではありません。平均給料とマージン率が低めの『ランスタッド』は、短期案件や軽作業スタッフの求人が多い影響で、平均給料が低くなっています。派遣会社各社保有する求人が違いますので、平均給料が異なります。

一般的に職種によってマージン率の相場が違います。事務系や軽作業系の仕事はマージン率は25~30%程度で、エンジニアなどの専門職のマージン率は30~45%と言われています。

 

4.マージン率が高いことはピンハネしているのか?

マージン率が高い(=派遣会社の取り分が多い)ということは、派遣会社がピンハネしているのでは?と働く側としては思ってしまうのではないでしょうか。なのに、最終的な利益が1%ぐらいしか残らないのはなぜか?という部分を解説します。

派遣会社のマージンの詳細

・社会保険料(フルタイムの場合のみ)
・有給休暇手当
・福利厚生費
・教育訓練費
・健康診断代(定期健康診断、雇い入れ時健康診断など)
・募集広告費
・営業担当や経理担当などバックオフィスの人件費
・本社・営業所の賃料などの固定費

派遣スタッフが有給を使用しても派遣先からはお金はもらえませんので、別途人件費がかかりますので、見込み経費として計上しています。その他人を雇う上で社会保険料の会社負担、営業担当などの間接社員の人件費などバックオフィスの経費がかかります。

以上のように意外にも派遣会社の利益率は低く、営業利益率はどこの派遣会社も1~3%程度です。

別の業界の営業利益率は以下の通りです。

業界 営業利益率
製造業界 5.4%
電気・ガス業界 4.3%
小売業界 2.7%
IT業界 7.3%
飲食業界 4.1%
サービス業 6.5%

(出所:経済産業省 平成30年企業活動基本調査速報)

派遣業界はサービス業に含まれますが、派遣会社の営業利益率は他業界と比較すると低めの水準となっています。

 

利益率が低いのに派遣会社がたくさんある理由

派遣会社の数は62,408社あるとされています。(出所:厚生労働省 労働者派遣事業報告書より)日本国内5万店舗とされるコンビニの数より多いです。

利益率の低い派遣事業を行っている派遣会社が増え続けている理由は、「参入障壁が低い」「固定費がかからない」「人材の回転が良い」からです。

派遣事業を開始するうえで、初期投資が少なく、固定費がかからないので必要な資金が少なく済むので参入障壁が低いです。

派遣スタッフは採用しやすいこともあって、一人当たりの利益が低くとも大量に採用してしまえばまとまった利益になる構造なので派遣会社が増えています。

急激に派遣事業者が増えた影響で、良くも悪くも色々な会社があるので、中小零細企業やピンハネと言われかねないような運営をする悪徳派遣会社がいるのも現状です。

そのような状況を是正するための一つとして、マージン率の公開を義務化されています。

 

5.マージン率だけで派遣会社を選んでもいい?

マージン率だけで派遣会社を選んでいいか?という質問については、

半分正解、半分不正解です。

正解と言う意味では、マージン率が低ければ時給を高く設定してくれるので、待遇が良くなることは間違いありません。

しかし、忘れてはならないことはマージン率が全てではないことです。理由は三つあります。

一つは、マージン率が良くても「派遣料金そのものが高くなければ意味がない」ということです。派遣会社の営業力が低いと、高い派遣料金の契約が出来ません。低い派遣料金ですとマージン率が高くても時給は低くなります。

その点、ネームバリューのある大手派遣会社や専門領域に特化した派遣会社は営業力が高い会社が多いので登録する会社としておすすめです。

二つ目は、マージン率が低いことにはデメリットがあります。

マージン率が低いときのデメリット

・サポートが手薄になる
・福利厚生がない
・昇給しにくい
・交通費が出ない

マージン率が低い場合、派遣会社の営業担当一人に対して多くの派遣スタッフを担当しなければなりませんので、入社後のサポートが悪くなることも考えておかなければなりません。

最後の一つが、公開されているマージン率は、その事業所に所属している派遣スタッフの「平均賃金」であるということです。

先ほどの表の中のテンプスタッフは12,280円が平均賃金でしたが、その事業所には何百名もの派遣スタッフが在籍しています。給料が10,000円の派遣スタッフもいれば15,000円の人もいるということです。

個別の求人によって派遣料金や時給が違いますので、平均賃金のマージン率とは比較できませんので注意が必要です。

 

6.一部の派遣業界で行われている「マークアップ方式」

マージン率や派遣料金が派遣会社ごとに違うので、契約料金を巡ってトラブルになることもあります。一つの職場に複数の派遣会社の派遣スタッフがいると、仕事は同じなのに派遣会社によって時給が違うという状況です。

このようなトラブルを回避するために一部の業界や職場で「マークアップ方式」という派遣契約方式を取り入れられています。マークアップとは、原価に加えられる一定の利潤・利幅という意味があります。

マークアップ方式とは

①特定の職場で働く派遣スタッフの時給を一律同じ時給にする
②その時給に派遣会社のマージンを一定の割合で上乗せする
③①、②より派遣料金が決まる

従来の方法は派遣先から指定された派遣料金から派遣会社が派遣スタッフの時給を決めていましたが、マークアップ方式では、派遣先が派遣スタッフの時給と派遣料金を決めていきます。

このような場合どの派遣会社から派遣されても同じ時給になります。外資系企業や物流業界などで運用されています。

 

7.まとめ

マージン率を「全てが派遣会社の利益」と考えるのではなく、「派遣会社の事業運営費」として考えておくことが大切です。公開されているマージン率については、あくまで目安程度に見ておくのが良いです。

マージン率が30%程度であれば一般的な水準と言えるでしょう。

 

派遣会社選びの基準はあくまで、あなたが働く仕事の条件、派遣会社の担当者の良し悪し、派遣先の会社から判断しておくとミスマッチがなくなります。

 

こちらの記事が派遣で働くあなたのお役に立てれば幸いです。