「面接の逆質問で何を聞けばいいか分からない」
「特にありませんと答えているけれど大丈夫か?」
面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」の質問は、単純に分からないことを質問しているだけではありません。
「特にありません。」と回答する人が多く、マイナスの評価を受けているかもしれません。逆質問を有効活用し、最後のPRのチャンスを活かし、印象をアップさせる質問リストを紹介します。
これまで人事責任者として数千人近く面接選考を行ってきた経験から、「良い逆質問とは?」「質問を準備するための方法」、「質問リスト20選」など面接で逆質問を攻略するためのポイントを細かく解説していきます。
こちらを全て読めば、面接の逆質問に関する面接官の意図が分かり、逆質問の対応方法をマスターすることができるでしょう。
1.良い逆質問とは
面接の質問では、一方的に知りたいことを聞くことだけでは、良い質問とはなり得ません。質問とはこれまで聞いたことや体験したことの知識、見識をもとに生み出されるものであり、付け焼刃の質問を立てても、良いコミュニケーションは生まれません。
面接における良い質問とは、いい空気感を作り、そこから新しい会話やコミュニケーションが生まれます。質問を受けた側も、質問の仕方や質問の着眼点から転職者の頭の良し悪しを見極めることができます。
良い逆質問をすることで、面接官の評価が一変して、高い評価を得られることも十分可能になります。
面接における良い質問には3つの要素があります。
- 得られた情報をもとに仮説を立てて質問していること
- 本質を見極めるために質問していること
- 応募者のあなたが働いているイメージを持たせられること
得られた情報をもとに仮説を立てて質問していること
質問の内容から、その人がどれぐらいの情報量を持っていて、どれぐらいの見識を持ち合わせているかが分かります。同業同職種の転職であれば、スキルレベルまでも一目両全です。
異業種への転職など、分からないことを聞くための質問として、どれだけ自分で調べてきているのかが、問われます。
事前準備として幅広い情報源から情報収集を行い、知りたいことを質問にすることで、面接官は「この人は良く分かっている、調べてきているな」と志望意欲を評価するポイントになります。
本質を見極めるために質問していること
面接における質問から、思考力が評価されるポイントは2つあります。
- 物事の因果関係を把握する想像力
- どのように質問をすれば、求める情報を得られるのかという論理的思考力
「何を聞きたいのかよく分からない」というような無駄な質問は全く意味がありません。例えば、「面接官の考える会社が求める人物像を教えてください」と聞いても全く意味がありません。時々の状況やその人の問題意識によって変わるような質問は、聞いても意味がありません。
例えば、「中途入社される方の割合はどれぐらいですか?中でも活躍されている方の共通点はどのようなものがありますか?」という質問の場合、質問の仕方や方法から「この応募者は全体から物事を考えられる人材なのでは」と評価されます。
質問で得た情報から、活躍している人物の特徴や働きぶりに共通することを導き出し、自分もそのように行動できる人材だとPRしていくことが逆質問において、PRするポイントになります。
質問して終了するだけでなく、対話したり、自己PRにつなげていくなど良いコミュニケーションを生むことが高い評価につながります。
応募者のあなたが働いているイメージを持たせられること
面接では次の職場で活躍できる人材かどうかを見極めています。質問から転職者の意欲や志望度を評価できるだけなく、将来的にあなたが働くイメージ持たせ、共有することができます。
例えば、「私のような経験の人材はが、入社後どのような仕事やプロジェクトにアサインされますか?」というような質問から、面接官は具体的に入社後のイメージし、実際に働ける人物かどうかを想像します。
あなたが働くイメージを現実的で、自社にマッチしているかどうかを考えさせることが重要です。
1-1.面接官が面接で逆質問を促す理由
面接で説明不足が無かったかどうかを確認するため
ほとんどの場合、自社説明や業務説明、求人内容の説明に過不足が無かったか、理解できているかどうかという確認のために行っています。
また、入社後への疑問や不安が無いかどうかを転職者に配慮するために行っています。もし不安に思っているような点があれば、しっかり説明したうえ、入社への動機づけも含めて行います。
質問内容から次の職場や仕事に求める事柄を知るため
転職者の質問内容から、仕事に求めていること、重要視していることを知ることが出来ます。
社員の評価制度について詳しく質問をしている人の場合は、「評価されることがモチベーションにつながる人なのでは?前職の評価制度に不満があったのでは?」などと推測することができます。
逆質問から転職者のコミュニケーション能力を評価するため
逆質問は、面接始めの自己紹介以外で自発的に話すことができる時間です。良い質問とは、質問したことをきっかけに新たな気付きや会話が生まれます。
どのような話の切り出し方をする人なのかというコミュニケーションスキルを評価しています。
1-2.面接で聞くことが無ければ、簡単な自己PRと熱意をPRする
面接で聞きたいことがないという人は、無理に質問をせず、志望意欲、最後の自己PRと御礼を伝えましょう。
「ありがとうございます、聞きたいことは全てお伺いすることができましたので、質問はございません。貴社の事業内容や採用背景、求められる役割を理解することができたと思っています。これまでの〇〇の経験を通じて得た〇〇を活かしていければと思います。よろしくお願い致します。」
質問はありませんか?という問いに対して、「特にありません。」と伝えてしまうと3つのデメリットがあります。
- 知りたいことが無いのではという志望意欲が低く評価される
- 疑問点が無いかなど面接官の配慮で聞いてくれているため不愛想な印象になってしまう
- コミュニケーションスキルが低くみられる可能性がある
必ず、御礼や志望意欲など一言添えるように心がけましょう。
2.良い質問をするための準備とは
事前情報を集めておく
会社のホームページや求人票、採用ページを読むことはもちろんのこと、その他の企業調査については、以下のような情報収集の方法があります。
- 店舗、工場、展示会などに実際に足を運ぶ
- Vorkerやキャリコネなどの従業員、元従業員の口コミサイトを確認する
- 新聞やニュースから業界ニュースをチェックする
- 転職エージェントから企業情報を教えてもらう
複数の質問を準備しておく
最低5つ程度の質問を準備しておくとよいでしょう。面接官からの説明で、疑問が解消する場合があります。
質問する場合は、以下のポイントに気を付けておきましょう。
- 全ての質問を確認すると面接時間が伸びてしまうため、時間に配慮する
- 面接の会話の流れに合った質問に絞る
相手によって質問内容を変える
相手の役職や立場によって、質問内容を変えましょう。現場担当者に経営ビジョンや福利厚生制度に関して、質問しても答えられないだけでなく、質問を選ぶことができない人なのではと評価されることがあります。
現場担当者・責任者
実際に配属される部署の社員が面接を担当することが多いです。主に業務内容や現場で働く従業員に関する質問をするようにしましょう。
- 業務内容の詳細、仕事の進め方など
- 現場で働く従業員の人柄や風土など
- 一日の仕事の流れや関係者との連携など
- 配属後の求められる役割など
人事担当者
人事担当者は配属される職場の業務の詳細や経営的な視点の質問は避け、社内人事情報に関する質問、人事から見た会社の所見を質問するようにしましょう。
- 中途採用者の割合、男女比率など
- 評価制度、福利厚生制度など
役員、社長クラス
経営層の人の場合、現場の業務に関する細かい質問より経営ビジョンや今後の方向性などを確認しておきましょう。
- 会社のミッション、部署や従業員へ求める役割など
- リーダーシップ、マネジメントなど
質問の回答に対する意見や共感する姿勢を伝えることを忘れない
先入観を持たずに、客観的に理解することを心がけましょう。質問の答えに対して、意見や否定をせずに、理解する姿勢を示すことを忘れずにしておきましょう。
相手の目を見る、相づちを打つなど基本動作に加えて、「そうなんですね、有難うございます。それについて〇〇についてはどうでしょうか?」などと、共感する姿勢と会話を続けられれば面接官の印象は各段に良くなります。
3.逆質問のNG事例 6選
調べればすぐに分かるような質問
- 御社の強みとなるサービスは何ですか?
- 御社の企業理念にある社会貢献とは、具体的にどのような事業ですか?
ホームページや求人票を少し読めば、分かるような内容に関する質問はNGです。事前情報の収集ができていないと、志望意欲が低く感じられたり、情報収集能力が低い人だと評価されていまいます。
聞いてもしょうがないような細かい質問
- 「決算短信を拝見したところ、利益率が下がってきていますが、一番の要因は何ですか?」
- 「今月に入り、株価が下がっていますが原因は何だと思いますか?」
面接ではホームページの一部に小さく記載されているようなものに、質問するのは避けておきましょう。
求人票に関する質問であれば、問題ありませんが、ホームページやニュースで挙げられているような情報に関して、細かい質問を続けてしまうと神経質な印象をもたれてしまうため、印象がよくありません。
面接官の立場で回答しにくい質問
- (人事に対して)「現在の業界で話題になっている〇〇についてどのようにお考えですか?」
- (現場担当者に対して)「会社のミッションや経営方針について、共感していますか?」
- (経営者に対して)「現場の職場風土を良くするためのポイントはなんですか?」
例に挙げられるように、面接官独自の意見や考え方について、個別で質問するようなことは避けておきましょう。
面接担当者の意見として、話すことが出来ても一個人の考えに過ぎない場合や、立場上コメントしにくいようなものは質問しないほうが良いです。
自信が無いように見える質問
- 「私のような経験であってもやっていけますか?」
- 「目標やノルマが達成されないと罰則などはありますか?」
謙虚な姿勢をアピールしようと、「私でも大丈夫でしょうか?」というような質問は実は逆効果です。
面接官は、転職する人にとって、経験したことがない業務に対して自信がないことは理解しています。しかしながら謙虚な姿勢に見えて実は安定志向であったり、ネガティブ志向、受け身姿勢で仕事をする人なのではと考えてしまいますので、印象が良くありません。
福利厚生や労働条件、評価制度ばかりの質問
- 「福利厚生施設の使い方はどのように運用されていますか?」
- 「残業時間はどれぐらいありますか?有給はいつからとれますか?」
企業の事業内容や業務内容ではなく、労働条件や福利厚生制度に関する質問が多い人の場合、仕事に興味が無く、福利厚生制度の条件の良し悪しが仕事を決める人なのか?と思われてしまいます。
育児と並行して、仕事を探している人であれば、家事育児などのサポートのため社内に託児所があるか、など家庭事情で質問する場合は問題ありませんが、そのような事情が無い人の場合は、質問はなるべく控えておきましょう。
質問の意図が見えない質問
- 「職場の皆さんは定期的に飲み会など参加されていますか?」
- 「社員の皆さんは、仕事のやりがいを見つけて、取り組んでいますか?」
聞いてどうするの?というような質問をしても意味がありません。事例で挙げているような質問であっても、会話の流れの中で、聞くことは問題ありませんが、唐突にこのような質問をすると面接官は何故このような質問をするのかと疑問に思い、あなたが仕事へ求めるものが良く分からず、仕事への価値観が合わないかもしれないと考えていまいますので控えておきましょう。
4.目的の質問事例 10選
長所をPRするための質問リスト
- 「〇〇の資格を取得しておりますが、活かせるような業務がございますか?」
- 「〇〇の経験を多く積んでまいりましたが、配属される部署ではどのようなスキルがもとめられますか?」
- 「これまでは、チームで目標達成することが多かったですが、次の職場では、求められる役割はどのようなものがございますか?」
- 「これまで10名程度のチームをプレイングマネージャーとして担当していましたが、御社ではどのようなマネジメントスタイルが活躍されていますか?」
「私は〇〇の経験をしていますが、御社の~~~はどうでしょうか?」というように質問する背景を説明するときに、自己PRを織り交ぜておくテクニックがあります。
面接の経歴のヒアリングや自己PRで伝えきれなかった場合などに有効です。
就業意欲をPRするめの質問リスト
- 「入社後した場合、配属される部署やプロジェクトはどのようなものがありますか?」
- 「同じような経歴の人で、成果を出し始めるのはどれぐらいの時期ですか?」
- 「御社で活躍されている社員の方に共通する特徴はどのようなものがありますか?」
質問内容は仕事のできる社員の傾向を把握し、転職者自らも同じような働きぶりを心がけるという形で、間接的に就業意欲をPRすることにつながります。
「入社後は〇〇のような仕事を任せてほしいと考えています」というように内定を前提に聞くような質問の仕方は避けておきましょう。
労働条件の合致度を確認するための質問リスト
- 「現在一人暮らしですが、転勤や異動のサイクルはどれぐらいですか?」
- 「前職はかなり残業が多い職場でしたが、御社はどれぐらいありますか?」
- 「〇〇職の場合は、どのような評価制度になっていますか?」
「福利厚生や労働条件、評価制度ばかりの質問」の内容に似ている項目になりますが、質問の構成として、転勤などは対応可能であるように伝えながら、転勤の有無を確認しておけば問題ありません。
5.面接官の役職別の質問事例 10選
選考過程で求められる逆質問においては、それぞれの選考フェーズで内容を変えておくと良いでしょう。また、同じ内容の質問を複数の選考過程で質問することは極力控えておきましょう。
現場担当者・責任者(1次面接~2次面接)
- 「現場のチームで仕事をする上で心がけていることがあればお伺いできますか?」
- 「チームメンバーの一日の流れを教えていただけますか?」
- 「現場で活躍している社員の特徴や働き方をお伺いできますか?」
- 「取引先に提案するまでの業務の流れやスケジュールをお伺いできますか?」
選考フェーズの序盤に、配属先の上長など現場担当者が面接を担当することが多いです。業務内容や仕事の進め方などの詳細について確認しておきたい場合は、序盤の選考段階で質問しておくようにしましょう。
人事担当者(1次面接~2次面接)
- 「中途採用者に期待していることがあればお伺いできますか?」
- 「御社でリーダーや管理職になり、活躍される社員の特徴はどのようなものがございますか?」
- 「前職では、四半期ごとに行われる表彰制度が社員のモチベーションに繋がっているとかんじていましたが、御社はどのような評価制度がございますか?」
人事担当に対しては、全社の人事データや人事について把握しています。そのような立場であること前提に質問を考えておきましょう。
役員、社長クラス(2次面接~最終面接)
- 「ホームページを拝見し、20〇〇年までに国内シェアトップになるも目標掲げておりましたが、今後どのような事業展開を進めていくのか差し支えない範囲でお伺いできますでしょうか」
- 「〇〇社長が、社員に求める役割や期待についてどのようなものがございますか?」
- 「今回の〇〇の採用について、今後の事業展開においてどのような位置づけでしょうか?」
経営陣が面接を担当する場合は、業務に関する細かな質問はせず、経営方針や諸問題に関する問題意識の共有、就業観などの価値観の共有が大事です。
6.まとめ
面接の逆質問の内容次第で面接官の評価が変わることがあります。
逆質問において、「特にありません」と回答してしまうことは無難なようで、マイナスの評価を与えるリスクがあるほかに、最後のPRポイントのチャンスを逃すことに成ってしまいます。
応募者が主体的にコミュニケーションを取る機会となりますので、質問内容を準備し、上手くあなたの人間性をPRできるように会話できるよう心がけましょう。
逆質問で面接官が「鋭い質問をする人だな、良い質問をするな」と評価してもらうためには、面接官がどのような立場の人が担当するかなど事前情報をもとに対策を立てる必要があります。
企業の選考情報に関して、事前に入手し、選考対策を立てるために、転職エージェントの活用をおすすめしています。
転職エージェントを活用するメリットは以下の通りです。
- 事前に面接を担当する人の情報を教えてくれる(配属部署、役職、名前など)
- 過去に質問された事例集を教えてくれる
- 採用される人・不採用にされる人の傾向
- 福利厚生や評価制度など聞きにくい質問を転職エージェント経由で確認してくれる
非公開求人を紹介してくれるだけでなく、面接の前の段階で役立つ情報を教えてくれます。その他にも面接に不安のある人は模擬面接を行ってくれますので、面接対策を行いたい人は転職エージェントを活用しておきましょう。
転職エージェントは転職活動に必要な経歴書の添削や面接日時の調整など全て代行してくれるため、転職活動で利用する人は多いです。
中でも、『パソナキャリア』は、初めての転職に強く、面接対策を丁寧に対応してくれます。面談に訪問したときに全員に配布される『転職必勝ガイド』に非常に有益な内容が書いてあります。職務経歴書の書き方や、面接質問集など転職活動の全体を理解するうえで非常に評判の良いものをもらえます。
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