美容師として仕事を始めたけれども、
・美容師の仕事は自分に合わない...
・給料が安すぎて、将来が不安...
・店の人間関係に疲れた...
などと美容師としてのキャリアに悩む人は多いのではないでしょうか。
美容師として誰しもが新人からスタートして、先輩美容師のアシスタントとして下積み時代を過ごしますが、とにかく拘束時間が長くて、人間関係のストレスがかかる仕事です。
その上、薄給の下積み期間が長くて、ストレスがかかる美容師の仕事を辞めようかと思うのは自然のことです。
こちらのページでは、美容師を辞めたいと思った時にやるべきことをまとめました。
1.友人のうち3人が1年以内に美容師を辞めた話
私の友人で美容師をしている(していた)人がいます。その中で10年経っても続けているのは半分もいません。
高校を卒業後、美容専門学校に進学して美容師国家試験をやっとの思いで合格して美容師になっているのを見てきました。(特に筆記が難しかったようです。)
しかし1年も経たずに美容師を辞めて違う仕事に就いています。
それぞれの理由は
- 給料が安すぎる。あと5年下積みと考えたら割に合わない
- 人間関係が濃すぎる。良く言えば個性的
- シャンプーで手荒れがひどくなった
口を揃えて、想像してはいたけれども、働いてみて現実を痛感したと言っていました。
美容師のアシスタント時代は手取り13万程度で、そこから洋服代、靴代、ご飯代、練習で使う小物類なんかをざっと計算しても毎月赤字でした。
シャンプーで手荒れがひどくなったという友人は3か月で辞めています。とにかくパーマ液やらシャンプーやら絶えず、何かに触っている状態で乾燥肌が悪化したと話していました。
全員美容師の仕事は嫌いではないけれども、続けられないと思って転職しました。美容業界の離職率が高い厳しさはそこにあるのかと思っています。
2.美容師の離職率は断トツ。離職理由とは
美容業界の離職率はサービス業界の中でもトップクラスに高いです。働き始めてから5人中4人は3年も経たずに辞めているという驚きの結果が出ています。(厚生労働省「産業別入職率・離職率」)
< 美容師の離職率 >
- 1年目・・・50%
- 3年目・・・80%
- 10年目・・ 92%
この統計には転職で店を変える人も含まれていますので、一概に美容師の数が減っている割合ではありませんが、かなりの割合で転職を経験しています。
一般的に新卒社員の3年以内の離職率は20~30%と言われていますので、遥かに上回る離職率と言えます。
美容師を辞めたいとも思うのはおかしくはない
仕事を辞める一番の理由は「人間関係」と言われています。家族であってもストレスがかかりますので、他人と関わるうえではたくさんのストレスがかかります。
美容師の場合、職場の人間関係に加えて接客しなければなりませんので、より一層のストレスがかかります。
- 訳の分からないクレーム、言いがかりをつけてくる客
- 店内での競争、恋仲、陰口、客の取り合い
- 店長、ディレクターとそりが合わない
など接客業である以上、ストレスが溜まることは多いです。
そのうえ、美容師の給料は薄給です。練習や居残りで拘束時間が長く、時間給にすると数百円程度にしかならないことなんで当たり前ではないでしょうか。
そうなると受付のアルバイトの方が、時給が高いということになってしまいます。
その他にも
- 休みが少ない
- 忙しくて昼休みのおにぎりも食べる時間が無い
- 人手不足で新人の教育ができていない
- 暑い、寒い中ビラ配りをしなければいけない
など辛いことを挙げればキリがありません。
お客からの感謝の気持ちで苦労が救われつつも、美容師としての将来を信じて毎日を過ごしていかなければなりません。
ですが年齢が若ければ続けられることですが、年を重ねることに同じことはできなくなります。美容師を辞めたいと思い始めたときから将来について徐々に美容師としてのキャリアを考えておくべきです。
美容師業界の常識が他では非常識
美容師業界、サロン業界の習慣は、別の業界からすると考えられないと思うようなことがいくつかあります。
美容師から転職してみて、これって実は労働基準法違反だったんじゃない?と思うようなことも多いようです。
非常識①居残り練習の時間は給料が出ない
- 営業前に2時間早めに来て練習する
- 営業時間終了後、夜の22時近くまでカット練習する
- 打ち合わせが長くなると24時近くなることもある
アシスタントからスタイリストに上がるためにはカットレベルを上げなければいけませんので、誰しもが練習します。早く上達してお客が付く美容師になる方が良いでしょう。
しかし営業時間中にお客様で練習することは難しいので、休憩時間や営業時間外にやることが普通だとされています。営業時間外に練習しなければ、美容師になりたいの?と言われるような業界です。
一般的な会社では、スキル習得に必要な教育については全て業務として扱われ手当が支給されます。IT業界などスキルが身につけば、月1万など別途手当がつきます。
非常識②自腹の出費が多すぎる
美容師として働く上で、スキルアップや情報収集のために仕事上に必要なことに対して自腹で出費する量が多すぎます。
- シザー代は自腹。スペア数本全て(1~10万などピン切り)
- 情報収集のため、他店で髪を切る(数千円~)
- 練習用のウィッグ(3~4千円程度)
- レジ金のマイナスが出たら補てんのため自腹で払う(都度)
など自腹で払わなければいけないことがたくさんあります。他業界であれば業務に必要な備品は支給されるのが常識です。
客単価を計算するときに、使い捨てのシザーは消耗品として原価計算しておくのが普通です。
もちろん特定のメーカーのシザーを使いたいとこだわりがあれば話は別かもしれません。とは言え、年収200~250万程度しかないときにこれだけの出費はかなり厳しいのが現状です。
>> 仕事なのに自腹で払うのはあり得ない!非常識な会社は辞めるべき!
非常識③休みが少なすぎる
- 休みの日に勉強会、研修を当てられる
- 週一休みが当たり前
- 休みにまとめてSNSにアップする
一般的な会社は、週休二日制が基本です。また法律上、セミナーや研修などの教育は全て「業務」として扱われますので勤務時間としてカウントされます。
研修時間内は給料が発生すべきところですが業界の習慣として、店舗の営業時間=勤務時間のようになっています。
はっきり言ってサービス残業の域を遥かに超えています。
>> 「サービス残業が当たり前」は違法|実態調査の結果~対処法まで解説!
3.美容師を辞めるためにはどうすればいいの?
美容師を辞めたいと思った時に考えておくべきことは、スタイリストまで頑張れるかをもう一度考えてみることをおすすめしています。
おすすめしている理由は、専門学校の学費を払って、何年もかけたのにすぐに辞めてしまうのはもったいないからという事ではありません。
スタイリストになれば、美容師として一人前になったという証でありお客が付きやすくなる、自分のできる範囲が広がります。
そうするとインセンティブがついて収入が安定しやりがいを感じやすくなるからです。スタイリストになれるまでの年数とそれまでの道のりについて、先輩社員に聞いてみるとよいと思います。
それを聞いてから転職すべきかどうかを考えてみるのも良いと思います。
業界を変えるならば、早めに動いておくべき
美容師を辞めたいと思っていながら仕事を続けることは長期的に見てプラスになりませんので、違う道を考えるべきです。
とは言いつつも、すぐに退職するとキャリアに空白期間ができてしまうのも良くありません。
もし仕事が忙しいと転職活動のための時間を作ることができないとしても、情報収集だけやっておくのがおすすめです。
転職サイトに登録しておくと、このような情報を集めることができます。
- 今の自分のキャリアで転職できる業界はどこか?
- 自分の年収の相場はどれぐらいなのか?
- どの業界が採用に積極的なのか?
情報を集めておくだけで、転職市場のトレンドが分かり、転職すべきタイミングが分かるようになります。
情報収集におすすめの手段とツールをご紹介します。
リクナビNEXT|転職サイト
『リクナビNEXT』は、転職サイトの中でも圧倒的な求人件数を誇ります。
非公開求人含めオファー型の求人紹介スタイルとなっており、求人を探す手間が無く情報を知ることができます。
「気になる企業ランキング」や「企業が求める経験・スキルランキング」を見ると採用トレンドがチェックできます。
登録するだけで履歴書を自動作成できるツールが、時間の無い人にとって非常に便利です。作成後はエクセルやワードでダウンロードできて使いまわしできます。
ミイダス|転職アプリ(サイト)
『ミイダス』は、今の職種や業界など簡単な質問を答えていくだけで市場価値を教えてくれる転職アプリです。「現時点の自分のキャリアにどれぐらいの年収オファーが来るのか」を調べることができます。
面接確約オファーも来ますので、興味がある企業に直接応募することも出来て転職活動期間を短縮できることも人気の一つです。
注意点として、適正年収がやや高めに診断される傾向にありますので参考程度にしておくのが良いと思います。
4.美容師の転職先で人気の職種
美容師の転職先として人気のある業界や職種は幅広いです。美容師として幅広い年代のお客さんを接客してきた経験は別の仕事でも活かせます。
また、美容師の平均年収が284万円ですので、美容師業界の平均年収より高くなる仕事ばかりで、転職後すぐに年収100万以上アップできる求人が溢れています。
営業職
営業職平均年収 : 413万円(男性の場合513万円)
美容師出身の人は営業職として活躍している人は多いです。
営業は自社サービスをお客様に売っていく仕事ですが、商品やサービスを売る前に、一人の営業担当としてお客様と人間関係を構築しなければいけません。
美容師としての接客経験がお客様との関係構築スキルにそのまま活かせます。美容師の仕事の中で、会話の中で質問して悩みを聞いたり、おすすめのトリートメントをさりげなく勧めてみたり等、まさに営業の仕事です。
営業はノルマがキツイというイメージがあるかもしれませんが、ブラック企業ばかりではありません。個々の役割分担をもってチームで目標達成していく営業スタイルをとっている会社も多いので、あまり構える必要はありません。
事務職
事務職平均年収 : 328万円(女性の場合309万円)
女性の場合、オフィスの受付や事務職に転職する人は多いです。事務の求人は豊富ですので困ることはありません。
専門職でない限り、人物重視で採用されます。PCスキルに不安がある人も入社後一から教えてくれる会社も多いです。
その他にも既に知識がある美容メーカーやエステ業界に転職する人も多く、他の転職者と差別化を図ることが出来るでしょう。
5.美容師から転職を成功させるコツ
美容師からの転職を成功させている人の共通点は、すぐに応募したりせずキャリアの振り返りをしながら、転職の準備を進めています。
活かせるスキルを見つける
美容師仕事を通じて培った経験の中では、別の仕事でも活かせるスキルがあります。
活かせるスキル
- コミュニケーション能力・・・幅広い客層の接客経験
- スキルアップのための習慣・・カット練習など自己研鑽する習慣ができている
- スケジューリング能力・・・・日々の予約状況に応じて、臨機応変に対応できる
- 体力・・・・・・・・・・・・立ち仕事が中心の業務。意外に評価されます
コミュニケーション能力を例に挙げると、新規のお客様と既存のお客様への対応を変えていると思います。どちらも共通して言えることは「満足してもらい、また来たいと思ってもらう」ことだと思います。
転職活動においては、「自分なりに工夫してどのようにコミュニケーションをとったか?」を自分の言葉で説明できると強いです。
あなただけのエピソードを語れば相手も良く理解できますし、美容師で培った仕事の姿勢が次の仕事においても活かせるのではと高い評価につながります。
自己分析と採用企業が求めていることを理解する
細かく自己分析を進めたい人は『自己分析4STEPシート』を使えば、自分のキャリアの棚卸しができるだけでなく、職務経歴書に書くべきポイントが整理できるようになります。
自己分析のサンプル付きで解説していますので、活用してみてください。
・転職に軸を作る|自己分析4Step【シート付・完全解説付き】
転職のプロに相談してアドバイスをもらう
本格的に転職活動を進めたいと思う人は、転職エージェントを使うのがおすすめです。
職務経歴書の添削や応募企業ごとの面接対策など実績的なアドバイスを個別コンサルしてくれます。
転職エージェントのサービス
- キャリア相談に乗ってくれる
- 非公開求人を紹介してくれる
- 採用背景や社内情報など求人票以外の情報を教えてくれる
- 履歴書・職務経歴書を添削、面接対策をしてくれる
- 応募、面接日時の調整を代行してくれる
- 年収交渉を代行してくれる
転職活動に必要なことを全て代行してくれます。採用企業からお金をもらっているため、利用者側は無料です。
転職エージェントは、「応募者が不採用になった」、「入社後すぐに辞めてしまった」ときは報酬が発生しないため、真剣にあなたの転職をサポートしてくれます。
6.「美容師を辞めたい人」が登録している転職エージェント
リクルートエージェント|転職者のほとんどが登録している
『リクルートエージェント』は、業界大手の転職エージェントです。リクナビNEXTと連携しておけば、市場に出回っている求人の大部分を網羅することができます。
選考に進むと、面接日時などエージェントが代行してくれて、ユーザー利用画面も使いやすく、手間がかかりません。
応募書類の作成や面接日時の調整など転職活動の雑務を任せて、転職活動に専念することができます。
リクルートエージェントはリクナビNEXTの10倍近い案件を保有しており、独自案件が多いです。
パソナキャリア|初めての転職、女性の転職に強い
『パソナキャリア』は、丁寧なキャリアコンサルティングが評判で、初めての転職活動を行う方にぴったりです。4万件近い求人を扱っていますので、幅広く求人を紹介してくれます。
登録者全員がもらえる『転職必勝ガイド』に非常に有益な内容が書いてあります。職務経歴書の書き方や、面接質問集など転職活動の全体を理解するうえでおすすめです。
このためだけに面談するのでも充分に価値があるものと言えます。
7.まとめ
転職活動を進めてみると給料が高い求人が多いことが分かるかと思います。転職して年収が100万アップすることも可能です。
美容師として一人前になったとしても、既に30歳を超えているでしょう。その時の年収が400万円にも満たないこともあり得ます。店長クラスの年収でさえも一般的な会社の20代の正社員と変わりません。
こちらで紹介したリクルートエージェントとパソナキャリアでは利用者の6割以上が年収アップを実現させています。美容師を続けて昇給を待つよりずっと現実的と言えます。
何年も働いて給料が上がらないと不安になったり、人間関係に悩んで、関係を改善しようとしても限界があります。無理に頑張ってしまうとうつ病になってしまいかねませんので、職場を変えてしまった方が良いです。
歳をとってから美容師以外の仕事をしたいと考えても、転職先は見つかりません。
現在は全体的に人材不足の影響でどこの会社も採用に積極的ですので、求人がたくさんあるうちに良い会社に入っておきましょう。
・リクルートエージェント|転職者のほとんどが登録しているエージェント
・パソナキャリア|初めての転職、女性の転職に強い
こちらの記事が美容師を辞めたいと悩む方へのお役に立てれば幸いです。