「昇進した場合は全て書くべき?」
「出向した時や転籍の場合はどう書けば良い?」
履歴書の職歴欄について自分の経歴をどのように書けば良いか悩んでいませんか?
経歴の書き方を間違えてしまい、誤った書類を提出してしまうと最悪の場合、経歴の詐称と疑われてしまうかもしれません。
こちらのページでは現役の人事責任者として履歴書の職歴欄について職歴別の見本をもとに書き方を解説していきます。
こちらを読めば、あなたの経歴の場合での書き方が分かり、正しい履歴書を作成することができるでしょう。
1.履歴書「職歴欄」書き方のポイント
①.「学歴・職歴欄」の1行目の中央に「職歴」と書く
学歴・職歴欄が一緒になっている履歴書の場合は、学歴の最後の行から1行空けて、中央部に『 職歴 』と記載します。
②.西暦・和暦のどちらかに統一する
年度の記載は元号(昭和・平成)が一般的です。学歴・職歴・資格取得年月日など履歴書全ての表記を統一しておきましょう。
また平成を「H.」というように省略することはNGです。省略せずしっかりと書いておきましょう。
③.会社名は省略せず、正式名称で記載する
会社名は省略せず全て記載しましょう。
NG例: NTTコミュニケーションズ株式会社
正式名称:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
省略せずしっかり書いておきましょう。また、(株)や(有)のように省略せず「株式会社」、「有限会社」と記載します。
合併等により社名変更となった場合は、「株式会社○○(現△△株式会社)」というように退職当時の名称で記載しましょう。
④.「入社」の書き方は勤務先によって変える
株式会社、有限会社、合資会社などの法人に勤務開始した場合に「入社」を使用します。それ以外の勤務開始の事例をご紹介します。
- 銀行の場合 :入行
- 官公庁の場合:入庁
- 医療関係者、病院:入職もしくは入所
- 会計などの個人事務所:入所
- 自営業の場合:開業
⑤.退職の書き方
退職理由は大きく分けて3つの理由に分けられます。
- 自己都合による退職
- 契約期間満了による退職
- 会社都合による退職
退職理由は、退職する時に会社へ提出する「退職届・退職願い」に記載される退職理由となります。その退職理由がハローワークで失業保険の手続きに必要な「離職票」に記載される内容となります。
それぞれの書き方については以下のページで理由ごとに見本付きで紹介しています。
⑥.結び「現在に至る、以上」の書き方
現在在職中の人は『現在に至る』と記載します。
職歴の最後に結びの言葉を付け加えて、「職歴はこちらで終わりです」ということを伝えるために、最後の職歴の行に改行を加え、右端に『以上』と記載します。
2.履歴書「職歴欄」の役割
2-1.「職務経歴書」と「履歴書の職歴」の役割の違い
履歴書の職歴欄と職務経歴書の役割の違いをまとめてみました。
履歴書は『経歴の概要』を説明、職務経歴書は『経験した業務の詳細』を説明します。
します。
項目 | 履歴書の職歴欄 | 職務経歴書 |
役割 | 経歴の概要 | 経験した業務の詳細 |
会社情報 | 会社名、入退社年月 | 事業概要を補足 |
仕事 | 配属先部署 | 担当した業務の詳細 |
役職 | 昇格・賞罰の沿革 | 業務ごとの最終的な役職 |
その他 | 学歴など | 身につけたスキル 仕事の実績や成果 |
履歴書の職歴欄は経歴の沿革をダイジェストでまとめているだけで、どのような業務を行ってきたかを知るためではなく、入社後の人事情報の収集という目的が強いです。
職務経歴書は具体的な業務経験や活かせるスキルを確認していきながら、次の職場で活躍していけるかどうかを選考するための書類です。書類選考では職務経歴書をもとに選考されることがほとんどです。
二つの書類の違いについては、こちらのページで詳しく解説しています。
2-2.異動・転勤した場合
部署異動動や転勤をした場合は全て、支店名、部署名、所属グループ、異動月を記載します。
2-3.昇進・昇格した場合
昇給した沿革は履歴書の職歴欄に記載します。これまでのキャリアで、「どの時期に」、「どのような部署で」、「どのような職位」で活躍していたかを明記します。
この沿革を見ればどのような業務を経験してきたか、どれぐらいのスキルがありそうかを想像することができます。
職務経歴書はその時期の担当した業務経験の詳細を説明する資料として活用されます。
※昇進・転勤が多い場合について
- 昇進回数が多い場合は、主要な役職の時期だけを記載(○○補佐などは除外)
- 転職回数が多い場合は、最終役職だけを記載
2-4.正社員としての経歴を記載する
履歴書の職歴欄は基本的に正社員としての経歴を記載します。
以下のような場合は派遣社員やアルバイトの経験を記載しておいても問題ないでしょう
- 派遣やアルバイトの経験が次の職場で活かせる
- 正社員未経験であって、ブランク期間中も働いていたことをPRしたい
雇用形態が正社員でなければ職歴とみなされませんが、一年以上経験していて、応募企業に評価される経験が積んでいる場合は、記載しておきましょう。
3.職歴別の職歴の書き方9パターン
3-1.社名変更した場合
社名変更した場合や吸収合併などの理由で、名称が変更している場合は「〇〇株式会社(現△△株式会社)」と記載します。
3-2.合併、統合などにより転籍した場合
転籍とは、働いている会社との雇用契約を終了させて、新たな会社と雇用契約を締結することを言います。グループ会社が新たにできて、籍を移すなどよくある事例です。
転籍は転職とはみなされませんので、問題なく記載しておきましょう。
3-3.関連会社へ出向した場合
『出向』という言葉が小説、ドラマなどで左遷のような扱いで人事辞令が出される場合があり、良くないイメージがあるかもしれませんが、特段悪いイメージは持たれません。
ベンチャー企業などは事業拡大によりグループ会社を設立するごとに転籍、出向する人がいたり、大手企業であってもグループ会社への人事異動など良くある経歴です。
また元の会社に戻る場合は、一時離れていた任務に戻ることを意味する、『帰任』を使用します。『復職』も同様の意味で使用されますが、会社を休むときに使用される休職から復帰する時に使用される言葉でもあるため、使い分けておくために『帰任』を使用しておきましょう。
3-4.派遣で就業した場合
派遣で就業した場合、「雇用主」、「派遣先企業」を明記しておきましょう。
ごくたまに派遣先企業だけを記載する人がいますが、派遣先に雇われているわけではありませんので、職務経歴の虚偽に該当しますので注意しましょう。
3-5.自営業、起業した場合
自ら会社を設立、経営していた場合は『設立』、『閉鎖』を使用します。
自営業や飲食店などを営業していた場合は、『開業』、『廃業』を使用します。
3-6.家業に従事した場合
家業に従事していた場合は、『○○業に従事』と記載します。家業が法人であれば『入社』を使用します。
3-7.個人事業主として活動した場合
税務署へ開業届を提出し、フリーランス(個人事業主)として活動している場合は、『開業』、『廃業』を使用します。屋号がある場合は記載しておきましょう。
※開業届を行わず、クラウドソーシングなどで受注して活動していた場合
開業届を出していない場合は、『活動』、『活動停止』を使用します。
3-8.アルバイトの経験を書く場合
アルバイトの経験を履歴書に記載する場合は、雇用形態を明記しておきましょう。
職務経歴書を準備しない場合は、簡単な業務の説明を入れておくと良いでしょう。
3-9.アルバイトから正社員になった場合
アルバイトから正社員へ雇用形態が変更した場合は『登用』を使用します。
職務経歴書を作成する場合はアルバイト当時の経験から記載し、正社員に登用されたことによる業務の幅や責任範囲が広がったなどのスキルアップをPRしておくのも良いでしょう。
4.まとめ
経歴別に書き方をご紹介しました。個人事業主なども職務の経歴として記載しますので、書き方については一般的な作法を押さえておきましょう。
履歴書の職歴欄でしっかりと経歴の概要をまとめておき、職務経歴で詳細を伝えるように心がけましょう。
履歴書の書き方や職務経歴書の書き方に不安のある人は、転職エージェントの「応募書類の添削サービス」を利用しましょう。
誤字脱字のチェックだけでなく、履歴書や職務経歴書の書き方について基本的なところからアドバイスしてくれます。
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こちらの記事が皆様の履歴書の作成のお役に立てれば幸いです。