外国人労働者は増える職場は「貧富2極化」が進んでいる?【注意点3つ】

オフィスや現場に外国籍の人と一緒に働くことが珍しくありません。

会社としては、事業戦略、人事戦略の一環として人材確保のために日本人だけではなく、外国籍の人材を雇う会社が増えています。

採用される企業や職場の傾向から、一つの特徴がみられ、

 

外国人が働いている職場は、給料が高いか安いかのどちらか

 

だということです。移住しやすさや技術的な進化によって起こっていることですが、現在のキャリアを考えた時に給料が安い職場が外国人に仕事を奪われていくと言われています。

こちらのページでは、外国人が増えている職場の特徴やその理由、具体的な事例を紹介していきます。

経済、法改定のトレンド、現場の諸問題の観点から今後のキャリアをどう進むべきかと考える人は参考にしてみてください。

 

1.職場に外国人が増えている業界とは?

(出所:内閣府「外国人労働力について」

グローバル化が進んでいると言われており、日本の産業が海外進出するのと同時に、外国人労働者も日本国内に流入しています。10年間で2倍以上増加しており、今後も増加率は加速していくものと言われています。

現在では50人に1人は外国人が働いている状況です。観光業、サービス業では職場のほとんどが外国人という会社もあるほどです。

 

外国人労働者が多い職場は「待遇が2極化」している

外国人が働く職場は大きく分けて3つにカテゴライズされます。

  • グローバル・テック型‥‥(IT、Web、商社など)
  • インバウンド型‥‥‥‥‥(観光、サービス、宿泊、飲食業など)
  • 人材不足補てん型‥‥‥‥(製造、産業廃棄物、物流業など)

グローバル・テック型の業界は、IT業界に代表される技術進化により海外のエンジニアや専門人材が流入してきています。海外の大卒エンジニアを年収1千万で採用するような業界です。

 

インバウンド型の企業は観光業、宿泊業に代表され、海外からの観光客向けのサービスを提供する会社の求人は待遇が良くなっている傾向にあります。時給単位で市場より数百円近く高い求人も見かけます。

宿泊業など、お客の9割が外国人で日本人を雇わなくてもいいような職場がたくさんあります。そのため語学力のある人材は厚待遇で採用されています。

 

一方人材不足の業界では、日本人が採用できないので外国人を雇わざるを得ないという事情から外国人を採用しています。食品工場や物流倉庫、産業廃棄物処理業界などは職場のほとんどが外国人という会社は珍しくありません。

 

2.どの業種でも外国人と一緒に働く時代が来る

現在では業界や会社によって外国人の人が働いているかどうかは違いますが、今後数十年で、ほとんどの業界で外国人と一緒に働く時代がやってきます。

国の施策で今後も増え続ける

外国人労働者が増えている要因は3つあります。

  • 国内企業が海外の有能な人材を積極的に採用している
  • 日本の永住ビザの取得要件が満たしやすいので、移住者が増えている
  • 技能実習制度の拡充と提携する国が増えている

移住のしやすさに加え、国の制度が整備されてきているので、外国人労働者は今後も増え続けるものとされています。

 

国力を維持するためには外国人労働者が必須

日本では、少子高齢化が進み現在の出生率のままいくと、人口減少が進んでいきます。

2060年には「現在の64歳以下の人口」と「2060年の総人口」が同水準となり、日本政府が提唱する「1億総活躍社会」にしなければ日本の労働力が確保できない状況に陥ります。

(出所:国立社会保障・人口問題研研究所「日本の将来推計人口」より作成)

そのために、日本の国内生産を維持するためには「生産性の向上」「女性の社会復帰」「シニアの活用」に加えて「外国人労働者の積極的な活用」が必要とされています。

今の年金制度の設計では成り立たないことが明らかになり、その補てんとして外国人労働者の活用という一面ももっており、ますます外国人労働者が流入する要因になっています。

 

3.外国人労働者がいるとトラブルが絶えない

人材確保ために、いかに上手く協働するかが最重要課題なのですが、それぞれの国の習慣、宗教、思考の違いからトラブルが絶えません。実際に報告されている事例について紹介します。

実習生・研修生のトラブル

中国、韓国、ベトナムなどのアジア諸国から、技能実習制度を利用して日本国内で働く人の中には、毎年数千人規模の失踪が報告されています。

農業など労働環境が悪い、受け入れ態勢が整っていない企業が多いという理由もありますが、行方不明になる事例が絶えません。その後の行方が分からず会社としてもどうしようもない状況にあります。

 

留学生アルバイトのトラブル

日本語学校や国内の大学、専門学校に通う留学生によるトラブルが多いです。勤務態度が悪い、無断欠勤、理由のない遅刻、言葉の壁などの理由から、現場社員との軋轢が生じます。

勤労に対する考え方が全く違いますので、出勤時間になっても来ない、連絡がないということはよくあることで、現場管理者の頭を悩ます原因になっています。

 

大量離職のリスクもある

日本国内在住の外国人の方は「友人の紹介」で仕事を探す人は多いです。

アジア諸国から出稼ぎに来ている人は、複数人でルームシェアすることが多く、自国の者同士コミュニティが作られています。コミュニティ内で求人を情報共有しており、自分が働いている職場に知人を紹介することがあります。

デメリットとして一人辞めると知り合い同士が雪崩式に辞めていってしまうことがあるようです。5人、10人が次の日から来なくなるというケースもあるので、現場としては、残された社員に負担がかかってしまいます。

 

4.外国人と働くときに気をつけておくこと

外国人の方と働くときに気を付けておくべきポイントを3つ紹介します。

相手の国や文化を理解する

日本人が外国人の文化や習慣を理解しようとする、話そうとする姿勢が大事です。

全く違う国の習慣や宗教上の作法を取り入れると職場の運営に支障が出ることがありますので、全てを受け入れていくことはできません。

例えばイスラム教徒のお祈りは、一日に数回決まった方角にお祈りを捧げる決まりになっていますが、時間帯が正午近くと3時前後にありますので、勤務時間帯にあたります。

そのため一時業務を止めて、一連を終えなければなりませんので職場の理解を得ておく必要があります。

その他にも食事や服装、様式も違います。長く一緒に働いていくためには、見た目や作法だけでなく相手の国の文化や思想を理解することで、仕事の進め方の柔軟性が生まれ、お互いを尊重した働き方ができるでしょう。

考え方の違いを理解する

コミュニケーションの取り方についてアメリカの人類学者エドワード・T・ホールは「ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」という識別法を提唱しています。

ハイ(高)、ロー(低)とされるが、どちらかに優劣があることを意味しているものではありません。

ハイコンテクスト(日本が代表例)

共有性の高い文化と言われ、抽象的な表現でのコミュニケーションが可能で、言葉の持つ意味以上に情報が伝達すると言われています。

しかし、受け手側の理解力や想像力によって、祖語が生まれることがあることも上げられます。

  • お互いの意図を察し合う
  • 阿吽の呼吸
  • 曖昧な言語表現でも通じる
  • 沈黙は意味がある

 

ローコンテクスト(アメリカなど欧米諸国)

表現された言葉だけが情報として共有され、それ以上のものは無い。受け手側に依存することがなく言語化されたコミュニケーションのため、絶えず会話、確認してくことでお互いの情報共有が成立していく

  • 言葉にしなければ伝わらない
  • 正確さが要求される会話
  • 合理的、論理的な言語表現
  • 沈黙はコミュニケーションが無い、とれない

 

日本は慎ましく、淑やかさが美とされており、組織風土が醸成されてきましたが、外国人とのコミュニケーションがそのまま通用するとは限りません。

ローコンテクストスタイルの外国人に対して、察してもらうことができませんし、黙っていては、何を考えているのか分からないと誤解されてしまうこともあります。そのようなズレが次第に大きなトラブルに発展するケースがあります。

コミュニケーションスタイルと理解しておくことで、円滑に相互理解を深められるでしょう。

言葉が上手でなくていい

日本国内で働く場合、共通語は日本語、英語、相手の母国語になりますが、お互いの言語力が低くても、大きな問題にはなりません。

外国人の人は特別な存在と思って接するのではなく、同じ人間であることを再認識しておくことが大切です。最初はボディランゲージや単語だけのコミュニケーションでも良いですが、よりビジネス的に高度になっていくと共有理解が必要になります。

そんなときでも、お互いのコミュニケーションの癖や特徴を知っておくだけでも、言葉以上の共有理解ができます。そのためにも積極的な姿勢でコミュニケーションをとることが大切です。

 

5.外国人と一緒に働くメリットもある。経験をキャリアに活かすべき

キャリアにおいて、外国人と一緒に働くメリットがあります。今後外国人を採用する職場が増えていきますので、外国人と一緒に働いた経験が評価されていきます。

異文化への理解力、姿勢が身につく

日本以外の国籍、宗教のバックボーンを持った人と一緒に働いた経験があることで、

・どう違うのか自分の経験談で話せる

・理解した、している言葉に説得力がでる

・あなたの人間力の幅が出る

周りの人からはこのような評価を受けます。実際にどのようにコミュニケーションをとったか?というあなたなりのエピソードがあると評価が高くなります。

 

仕事の進め方やコミュニケーションスキルが身につく

相手に合わせた適切なコミュニケーションスキルが身につきます。

日本人と一緒に仕事をするときと、外国人と一緒に仕事をするときは、言葉のかけ方、仕事の教え方、連絡の取り方など全く違います。

こちらの振る舞い方次第で相手の取り方、理解の仕方が全く違いますので、この違いを理解しておくことで、対応力や理解力が身につきます。

 

問題解決能力が身につく

外国人と一緒に働いていると、異文化による価値観の違いからトラブルになるケースがあります。

  • 意思疎通が上手く出来なかった
  • 説明したつもりが、全然伝わっていなかった
  • 時間にルーズがところがあって中々直らなかった
  • 全くこちらの話を聞いてくれなかった

などと経験があると思います。このような時にどうやって解決したか?何が悪かったか?という経験が問題解決能力の一つになります。

異文化の違いは経験しなければ分からないことがたくさんあります。それらを海外に行かずとも経験できることが大きなメリットと言えるでしょう。

 

6.わたしたちの転職市場の影響とは?

外国人が日本の会社に流入してくる流れは止められませんし、今後一層加速していきます。

実は今の日本と似たような状況が、少し前のアメリカでも起きています。現在アメリカでは移民問題の解決が労働市場において急務となっています。

アメリカの移民問題とは、

・隣接する中南米からの移民(不法移民含む)が急増、人口の7%にのぼると言われている

・犯罪、社会保障だけでなく、雇用や教育に影響が出ている

・自国の国民の雇用枠が少なくなる、製造系、サービス系は移民によって支えられている

・社会保障の対象が増えて、恩恵が受けにくくなる

・実はアメリカは「人種のるつぼ」と言われる通り、移民の力で国力が拡大している

イェール大学とMITの共同研究の発表によると、1990年2016年の人口データをもとに統計モデルから不法移民の人口は2,210万人にのぼると推定しました。

メキシコ国境での不法移民の指紋数、ビザが切れた不法滞在者などの数々のデータから算出されています。こちらは、アメリカの政府組織が予想した数値を遥かに上回る統計結果となっており、数々の政策が推し進められています。

Estimates based on demographic modeling with data from 1990 to 2016

日本と比較して外国人の流入のルーツが違いますが、労働市場への影響として、外国からやってきた人たちに自分たちの仕事を奪われている状況になることは予想できます。

 

7.まとめ

日本においては、流入する人材に仕事が奪われつつあり、その特徴は待遇が2極化しているといます。

待遇が良いエンジニア系と最低賃金に近い製造系にあります。

エンジニア系の職場で働く人は、グローバル化を肌感覚で実感しているかと思います。応募した求人には、複数の外国籍エンジニアが競合になっている、ということも珍しくありません。海外諸国の人材が競争相手だと意識していくことが大切です。

現在、工場や物流倉庫で働く人にとっては、外国人に仕事が奪われる時代が来ます。オートメーション化やAIが進み、誰でも作業できるような技術が導入されていきますので、それに応じて、給料も安くなっていきますので、日本人では働けないような時代になります。

現にコンビニに100円で売られているようなおにぎりの製造工場などほとんどが外国人労働者で溢れています。

 

外国人と一緒に働くことに抵抗がある人は多いです。特に言葉の壁が何よりも大きく、ストレスに感じることもあるかもしれませんが、外国人の方と一緒に働いている経験は今後の日本の労働市場において、価値が出てくるものですので、経験しておいて損はありません。

しかし、職種によっては将来的に仕事が無くなる可能性がありますので、そのような職場で働いている人は将来性のある業界に転職することを考えておくべきでしょう。